保険治療という残酷なシステム。
患者さんの治療を行うと、その後に私が「患者さんからの情報、説明した内容、やった医療行為、チェック項目、管理費等々」をカルテというオフィシャルの個人情報帳へ書き込みます。
このカルテは、又の名を「レセプト」といって、社会保険と国民健康保険のどちらかへ送られて精査され、医院へ医療費という治療行為の代償が支払われます。
このレセプトというシステムは非常に残酷なシステムで、治療のボリューム、掛かった時間、説明した事、患者さんへの思い、患者さんの感情といった「心理的もしくは肉体的感覚」はまったく加味されません。
治療行為が点数化されていて、「時間がかかって、とても大変な治療だったから、今日はちょっと多めに点数を頂きます(笑)」といった感情を込めた治療費設定が出来ません(笑)。
また、「治療時間が短かったので、今回は治療費半分にしてくれよ」という患者さんの要望も、全く駄目です。時間の長さに関わらず、行った治療行為に点数が付けれています。
それと、上手い下手も関係ありません。歯科医師1年目でも25年目のベテランでも同じ点数です。
時には喜び、時には悲しむべきスタイルなのです。
そんなスタイルに嫌気が差して、保険医の登録を取り消して、自費診療のみで勝負する先生もいますが、私は保険での診療が好きなので、保険医の登録を取り消す気は全くありません。
最近の社会的情勢を見てみると、医療費の高騰が国家予算を圧迫しているというニュースを良く聴きます。しかし、歯科はこの20年間、医療費は全く増えていません。増えているのは医科の方なのです。
しかし、歯科の材料費は年々増加していますので、治療をすればするほど赤字となる現象が起きています。悲しい事です。
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