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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
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当院では、心停止の救命措置に必要なAED(自動体外式除細動器)を設置しております。

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2019年3月20日 (水)

在宅歯科診療に向けて〜情報共有と他職種との関わり方〜の座談会

昨晩は、歯科医師会にて「在宅歯科診療にて〜情報共有と他職種との関わり合い方〜」と題して座談会が開催されました。
座長は、この在宅訪問歯科診療の研修会を過去2回開催されている本間秀裕先生。座談会の出席者は摂食嚥下障害認定看護師である遠藤氏、ケアマネージャーの田部氏、歯科衛生士の柳沼氏と鈴木氏。歯科医師代表としては在宅診療を積極的に行っている二瓶先生と園田先生。司会及び進行しとして学術理事の糠澤先生の8名で行われました。
今回の座談会の中の大きな流れとしては、認知症や接触障害のある患者さんに、いかに食事を自分の手で行わせるかという大きなテーマがあったと思います。
KTバランスチャートの活用やケアマネージャーとの付き合い方、訪問歯科診療に携わる実際の歯科衛生士さんの活動、歯科医師の活動等の活発なディスカッションが行われました。
私個人的な事で言えば、当院では訪問歯科を行っていないので、あまり参考にならないのかもしれないという悲観的な思いでこの研修会に参加したのですが、それは大きな間違いでした。
本当に勉強になりました。
それは、園田先生の発表です。
口の中に歯冠が崩壊した歯根だけの歯しかないとすると、間違いなく開業医は抜歯して、入れ歯という選択(もしくはインプラント)をすると思います。
それは自分の足で来院出来るくらい元気で、治療内容を患者さんに理解して貰っているから。
しかし、通院する為の条件が揃っていない患者さんの場合(歩けない、体力がない、認知症)は、歯根しかない一見ボロボロの歯を上手に使って、食事をしているかもしれない。だから、虫歯だからといって、患者さんの食生活を認識せずに勝手に抜歯処置をする事はしないというのです。
また、我々の目の前に食べ物(プリン)があったとします。それは脳が「あ、プリンだ!スプーンですくって食べよう」と認識するから勝手に手が動いてプリンを食べられます。お煎餅を食べるのも、頭の中で「硬いたべもの。歯で割って、よく咀嚼して食べる」というデータがあるから行える事。
認知症に罹患して、このプリンや、お煎餅の食べ方のデータが脳から消失してしまうと、食事を運ぶ動作、口の動かし方(プリンの食べ方なのかお煎餅の食べ方なのか?)が分からなくなってしまう。
その場合、入れ歯というデータも脳から消えている可能性があるので、入れ歯を作っても無意味だと言うことになるそうなのです。そのあたりの見極めを行い、歯を抜くのか?入れ歯を作るのか?を判断するというのです。
そのため、園田先生は、認知症の初期には必ず歯医者にて歯科治療を受けさせる様にと勧告していました。
また、二瓶先生は、介護者の口腔内は入れ歯が汚れている事が多く、食物残渣が多く付いている事を指摘。その食物残渣の中に薬も含まれている事が判明したと発表していました。つまり、口に入れた薬は飲んだとは限らない可能性もあると。
今日、このブログでは書き切れない程、多くの事を勉強させてもらいました。
いや〜、自分の治療の考えの甘さを再認識しました。
参加して良かった研修座談会でした。

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