メカニカルな顎の動きが私の治療の軸
医科の分類は沢山標榜されています。
外科、整形外科、内科、呼吸器内科、耳鼻科、眼科・・・等々。
しかし歯科の標榜といえば、一般歯科、小児歯科、歯科口腔外科ぐらいです。と言うことは一般歯科という分類の中に多くの治療の科が含まれていると考えられます。
一般的にいう歯科とは、保存療法(歯周病、歯内療法、単独の被せもの)、補綴療法(入れ歯、ブリッジ)の二つです。
私は元々補綴療法から歯科の臨床をスタートしています。
祖父も父も地元では入れ歯の名人って言われていた(らしい。。本当かな??)みたいだし、姉も大学は違うけど補綴で入れ歯を学びました。
私も小さい頃から自宅の技工室で父と祖父が造る入れ歯をみながら育ったので、補綴科に行くことには何の疑問も覚えなかったです。
しかし、大学で父が入っていた講座に入局したのですが、そこは「現代インプラント」を日本で初めて始めた小宮山彌太郎先生が教授としていたので、自然とインプラントも勉強する事になりました。
入れ歯の型を採る技術やインプラント基本的な技術を学んで開業したわけです。
しかし、開業と言うことは、自分の治療した診療に全て責任を負うと言うことを意味します。
大学に居た頃は、大学の教授や病院長が責任を負ってくれていたのです。
開業して最初に一番苦労したのは造った補綴物の(入れ歯、被せもの、インプラント)の不具合が発生した時です。不具合の原因が分からないのです(今だから言うけど・・・笑)。
そこで、出会った治療法が「顎関節を中心とした治療」です。
顎の動きは、窓の動きに似ています。会話だけなら窓の開け閉めの動き、食事の時の動きはスライドドアの様に顎が前後に動きつつ開いてくるのです。
だから、顎の動きに合わない形態の人工の歯を入れたとしても、窓枠よりも大きな窓や小さな窓ははまらなかったり、ガクガクとズレたりしてしまいます。
顎の動きは非常にメカニカルで、歯科医師としても取っつきにくいです(苦笑)。
未だに顎の動きを正確に分かっている先生もいるくらいです(こんなこと書いてすいません)。
私も最初、顎の動きを理解するのにとてつもない時間がかかりました。
しかし、理解してしまうと、途端に治療の幅が広がりました。
もう顎の動きを考えない治療なんて考えられないのです。
顎の動きが悪くて上下の歯がバンバン、ガンガンいつもぶつかって、衝突して、ヒビが入り、ヒビからプラーク等のバクテリアが入り込み、虫歯になったり、上下の噛み合わせが悪く、歯周のなかの歯根膜が捻挫の様な状態になってしまい、歯槽骨という歯を支えている骨が減少したり。
私は周りの先生が「顎」を中心に臨床を考える先生が多くいてとてもラッキーでした。
これからも、あのメカニカルで難しい顎の動きを中心に考えて治療を計画を立案して行きたいです。
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