歯のホワイトニング
本日は、日本経済新聞2009年9月26日分のNIKKEI PULUS1よりお届けいたします。
◇歯のホワイトニング
モデルやタレントの笑顔で印象的なのが歯の白さ。一方、鏡の中で微笑む自分の歯を見ると、黄ばみが気になる、という人も少なくない。
結婚式や同窓会などが増えるこれからの季節には、より白い歯を手に入れたいと考える人は多いだろう。最近注目されている歯のホワイトニングの手法を探った。
「毎日しっかり歯磨きをしているのに、何だか歯が黄ばんでいる」と感じている人は少なくない。それもそのはず。実は日本人の歯の色は、もともと欧米人に比べ少し黄色い。また、年齢を重ねるごとに歯の黄ばみが気になるようになるが、これは加齢により歯の内側の濃い色が透けて見えやすくなるからだ。
こうした悩みに対応した治療法がホワイトニングだ。ホワイトニングでは、過酸化水素水や過酸化尿素といった薬剤を使って、エナメル質や象牙質に沈着した着色汚れを漂白する。
薬剤に含まれる過酸化水素が口の中の水と反応して着色汚れを分解する。
漂白剤を口の中で使うので、安全面が気になるところだが、、昭和大学歯学部の久光久教授は「過酸化水素水はもともと歯周病治療の際の殺菌に使われていた薬剤。歯をコーラに付けたときよりもホワイトニングの方がダメージが少ない。」と説明する。
◇1日1~2時間
ホワイトニングには2種類の方法がある。1つは歯科医院で行う「オフィスホワイトニング」。もう一つは自宅で行う「ホームホワイトニング」である。
オフィスホワイトニングでは歯に薬剤を塗り、そこにレーザーなどの光を当てて薬剤を急激に反応させて白くする。通常は比較的高濃度の薬剤を使うことが多い。利点は一回の治療ですぐに白くなること。大切な行事などですぐに白くしたいときなどに向いている。ただし「透明感がやや少なくマットな(つやのない)白色に仕上がることがあり、歯の色が再着色する『後戻り』が起こりやすい』と久光教授は話す。
一方、ホームホワイトニングは、まず歯科医院を受診してマウスピース形のトレーを作ってもらい、薬剤とともに家に持ち帰り、自宅で行う方法。トレーに薬剤を入れ、一日に1~2時間歯に装着すると、2~4週間で歯が白くなる。寝る前の空き時間や家事の最中に漂白出来るのが特徴だ。歯科医院のいすの上で緊張する必要がない。「すぐには白くはならないが、ゆっくりと漂白するので歯の透明感が失われずに白く出来るのが特徴。歯の再着色もしにくい」と久光教授。
日本大学歯学部の宮崎真至教授は「日本大学の患者の場合、7割がホームホワイトニングで、3割がオフィスホワイトニング。ゆっくり自宅で行いたいという人は女性が多く、短時間で済ませたいという人は男性が多い傾向にある」と話す。
◇過半数に痛みも
ただし、ホワイトニングは一度で効果が障害続くわけではない。次第に着色するので、白さを保ちたい場合には、オフィスホワイトニングなら約半年、ホームホワイトニングなら約1年ごとに再度ホワイトニングを行う必要がある。日ごろのメインテナンスも大切。
赤ワインなど着色しやすい食べ物を控えたり、定期的に歯科医院でクリーニングを受けたりするといい。
1つ覚えておきたいのは、ホーム、オフィスいずれの方法でも、軽いケースを含めて55~75%の人で歯の痛みや違和感など知覚過敏症状が出ること。ただし、それも市販の知覚過敏用の歯磨き剤を使えばおさまることが多い。
医療機関を選ぶ際には知覚過敏などの説明があることが重要な軸になる。また、「ホワイトニングでは、患者が求める歯の白さなどのニーズをきちんと把握する必要がある。質問がしやすい雰囲気であることや、歯科衛生士や歯科医師との相性も大切な要素になる」と宮崎教授。
◇まずむし歯治療
ホワイトニングを行う際、まずむし歯などの治療が必要。妊娠中や授乳中も控えた方がいい。さらに宮崎教授は「エナメル質や象牙質の形成が不十分な歯の場合には、色むらができるのでホワイトニングには向かない」と限界を説明した。
「エナメル質の形成不全などでホワイトニングが出来ない場合には、歯のマニュキアという方法が向いている。歯の表面にコーティング剤を塗り固め、歯を白くするものだ」とホワイトニング専門の歯科医院ティースアートの椿智之代表も話す。コーティング剤を光りで固めるのではがれにくく、1~3ヶ月もつという。
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