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2009年8月12日 (水)

高齢者の口腔ケアの重要性

本日は、戸田恭司先生の著書『口腔ケアのいきいき』よりお届けいたします。

◇口腔ケアの重要性

口腔ケアとは、「歯、口腔を中心とした顎咀嚼系諸器官の疾病予防、健康保持を行うことにより、全身や精神の健康増進に寄与しクオリティー・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を高めるための科学的知識に基づく技術の実践」といえます。

とりわけ要介護高齢者に対する口腔ケアは、介護保険制度の実践のなかで、関心が高まりつつありますが、口腔ケアの対象者は高齢者に限られているわけではありません。

乳幼児から成人の日常に健康維持はもとより、疾病しかかった場合の症状の改善や生命維持にとって欠かすことの出来ないのもです。

◇食べることは基本

「おいしく食べること」、「気持ちよく便通できること」、「ぐっすり眠れること」は、いずれもヒトとしての基本的生理現象であり、QOLの重要なポイントでもあります。

なかでも、“食べること”は、楽しみや幸せを感じるもっとも重要な行為の1つですが、加齢あるいは疾病による歯・口腔や摂食・嚥下機能の低下や障害で、それらが阻害されることがあります。

その場合で生きていくためには、経口摂取にしろ、経管栄養にしろ、体内に最低限必要な量と質の栄養素を摂取しなければなりません。

しかし、食物(栄養素)が口から摂取出来ないからというとそうではありません。むしろ使用されない(機能しない)器官は質的・機能的萎縮を来すので、この場合にはいっそう口腔ケアが重要になってきます。

例えば唾液分泌の低下や口唇の閉鎖不全、口呼吸による口腔乾燥で、粘着性の舌苔が付着し、口臭、歯周炎、カンジタ症、味覚異常などが発症しやすくなることが知られています。

また口腔の機能は食べる機能だけでなく、以下に示すように私たちが社会生活を送るうえで、実に多様な役割を担っています。

これらの機能はどれをとってもひとたび失われると重大な支障を来します。口腔ケアは、これらの役割を的確にバックアップして、多様な生活の質を保っていくうえでも必要であり、そこに口腔ケアの意義があります。

◇表 口腔の機能と障害

①咀嚼障害・・開口障害、閉口障害

②消化・呼吸器の入り口・・呼吸障害

③構音機能・・発音障害

④顔貌審美性・・審美障害

⑤味覚・・味覚障害

⑥感情表現・・表情筋障害

⑦唾液機能~消化・抗菌・免疫~・・唾液機能不全

⑧摂食・嚥下機能・・摂食嚥下障害

⑨個体識別機能・・自己証明不能

⑩道具的機能・・道具的使用不全

⑪闘争本能

⑫愛情表現

参考文献 口腔ケアのいきいき 戸田恭司 森下真行 安井良一 阿川真澄 著 医歯薬出版 

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