哺乳瓶授乳の注意点
本日は、垣本充先生の著書「歯育て上手は子育て上手」よりお届けいたします。
◇哺乳瓶授乳の注意点~飲みやすい乳首はだめ~
生まれたばかりの赤ちゃんはオッパイを必死になって吸います。本能的な行為ですが、実はこれが心身の発育にとって非常に重要です。
生まれたばかりの赤ちゃんはの顔の下部の発育はオッパイを吸う行為によって促されています。赤ちゃんは上下の唇で乳首をはさみ、舌で乳首を上あごにおしつけ、しごくように動かしてお乳をしぼりだし飲み込みます。
赤ちゃんはこの大変な運動を口のまわりを精一杯使って行い、舌唇、頬、アゴを動かす筋肉を発達させます。とくに乳首をしごく舌の前後運動は、赤ちゃんのアゴを前方に押しだし、下アゴの発達を促します。この運動は将来的に歯のかみ合わせがうまくいかない不正咬合を防ぐといわれています。
ここで、ミルクで育つ赤ちゃんについて考えましょう。母乳が出にくい場合、母親の健康状態がよくない場合、母親が勤めている場合には、赤ちゃんの発育のために調整粉乳を併用します。哺乳瓶による授乳は、機械的にならないように赤ちゃんを抱いて飲ませるようにしてください。お母さんが抱いて飲ませてあげることは、赤ちゃんの心の発達にとても大切です。
哺乳瓶のゴム乳首にはかるく吸うだけでミルクを飲めるものがありますが、これではアゴの発達は望めませんし、吸う運動からくる適度な疲労と精神的な満足が得られずに、赤ちゃんにストレスがたまってしまいます。吸い穴の大きい乳首や流量の多い乳首は止めましょう。また、月齢にしたがって大きめのものにかえていくことが必要です。
吸い穴の大きい乳首で赤ちゃんを上向きにしてミルクを流し込むような飲み方を習慣づけてはいけません。この方法がもっとも吸う努力をしない飲み方で、当然運動量も少なくなってしまいます。
最近では、このような欠点を補うために、全体の形が大きめでミルクを出す穴が横に付いているゴム乳首が市販されているようです。
ところで哺乳瓶は、ミルクだけではなくいろいろな飲料を与えるのに便利ですが、便利だからといって清涼飲料水や乳酸飲料を与えるのは絶対にやめましょう。哺乳瓶の場合、飲料が口の中に停滞するので、酸性度の高い飲料だと重症の虫歯を作る危険性が大きいのです。
歯が生える前の時期でも、赤ちゃんの甘味嗜好をエスカレートさせることになってしまいます。これが虫歯や肥満、さらに将来的にはいろいろな成人病を生み出す原因の一つになります。
果汁やスポーツ飲料も同じです。歯が溶け始めるpH(酸・アルカリの単位で一に近くなるほど酸性が強くなる)は、5.5ですが、清涼飲料水、乳酸飲料、スポーツドリンク、果汁などは、pHが3前後ですから歯に良いわけありません。とくに、赤ちゃんが眠る前には絶対に止めましょう。眠っている間は弱アルカリ性の唾液が分泌されないので、非常に虫歯になりやすいのです。
参考文献 歯育て上手は子育て上手 垣本充著 農文協
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