放っておくと死ぬ?
本日は、花田信弘先生の「もう虫歯にならない!」からお届けいたします。
放っておくと死ぬ?
誰でも内臓の具合が悪ければ、お医者さんに行って検査を受けたり、薬を飲んだりします。ところが、虫歯となると、本当に痛くなるまでなかなか歯医者さんに行かないようです。
それは「虫歯で死ぬわけじゃない」「たかが虫歯」という気持ちがあるからではないでしょうか。
確かに、虫歯は生死にかかわるものではないかもしれません。しかし、考えてみてください。手や足が傷ついたときは消毒するはずです。それは細菌が傷口から入って、血管を通して体全体に回らないようにするためです。
虫歯も傷です。しかも歯の部分に囲まれて、自然にふさがることのない特別な傷だといえます。
口の中にたくさんいる細菌が虫歯の穴を通して血管中に入っていきます。この状態を菌血症といいます。さらに、感染が進んで血液中の細菌が増えると、敗血症になり、今度は血液を通して細菌が全身に運ばれるため、多臓器不全を起こして死に至ってしまう。そんなことも絶対ありえないことではありません。
それは少々オーバーな話だとしても、虫歯の傷口から絶えず侵入してくる多くの微生物と常に闘うことで、体の抵抗力という貯金を減らしてしまうことは確かです。
抵抗力という兵士をたくさん使ってしまうと、虫歯菌よりもっと深刻な病原菌が入ってきたときに使える兵士が減ってしまっていて、ガクンと体力を落としてしまうことになります。虫歯のような、治療すれば簡単に治せるものに大事な抵抗力を使ってしまうなんてバカバカしいではありませんか。
口の中にはたくさんの細菌がいます。いままでは、それらの細菌が病気につながるとは考えられていませんでした。しかし、最近の研究で、川崎病の原因は口腔細菌である溶連菌が外に出している毒素であることがわかりました。1億個以上もある口の中の細菌が、虫歯を通して全身に広がって行くことで、健康障害を起こすこともあると考えられるようになっています。
ただし、口腔細菌のうち、この細菌がこういう病気をもたらすというふうに、細菌と病気の関係はまだすべて解明されていませんが、細菌自体ではなく、細菌が作り出す毒素に問題があるということはわかってきています。
ただし、口腔細菌のうち、この細菌がこういう病気をもたらすというふうに、細菌と病気の関係はまだすべてが解明されていませんが、細菌自体ではなく、細菌が作り出す毒素に問題があるということはわかってきています。
口の中にいる細菌だけでなく、インフルエンザ、はしか、百日咳など多くの感染症は、口を介してうつる経口感染です。病原体の体への侵入口は、目、鼻、生殖器、そして口です。健康な皮膚からは入ってきません。
目や鼻、生殖器は粘膜によって守られていますが、口は大きな侵入口にしては守りが甘いといわざるをえません。
参考文献 もう虫歯にはならない 花田信弘著 新潮文庫
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