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しろくま先生のブログ
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2006年12月29日 (金)

抜歯してきました。続き

本日は昨日の続きです。

治療前日、実は自分も歯医者のくせにとても怖かったのです。

なのが怖いって、ズバリ「注射」です。

月に何百本も患者さんに注射しているのに、私は、1本の自分への注射におびえていたのです。

しかし、これは非常に勉強になりました。

患者さんがどんな気持ちで歯科医院に来院されるのかが解ったからです。

今日は、自分が患者さんの立場で診療の一部始終をリポートしてみたいと思います。

その日は10時に友人の先生のところへアポイントを取っていたので、9時半に家を出ました。

楽々、歯科医院には到着していたのですが、なぜか車は歯科医院の前を素通り。正直怖かったのです。

10時5分にすこし遅れて歯科医院入り。自分でも非常に緊張しているのが分かります。

ユニットに座って、まずは口腔内撮影。自分のカメラも持参して何枚か撮影して貰いました。

ついに、緊張の麻酔。しっかりと表面麻酔を施してもらいました。表面麻酔というのは、粘膜に針が刺さる瞬間の痛みを取るものです。

顔には水が顔に飛び散らないようにタオルがかけてあるので、いつ麻酔されるのか全く分かりません。

「いつ、チクッとくるのだろ・・・。」こんな事を考えて待っていました。

「では少し押される感じがしますよ」

「き、きた・・・・(滝汗)。」

「・・・・・・・・・・。」

・・・あれ、全然痛くない。・・・・・・・・。

全く痛くないのです。先生が慎重に麻酔液を注入してくれている証拠です。歯科の麻酔というのは実はやり方があります。痛い麻酔というのは急いで麻酔液を注入すると骨と骨膜と呼ばれる膜を剥がしながら進んでいくので、とても痛いのです。

しかし、表面麻酔をしっかりと施し、骨膜を剥がさないようにゆっくりと麻酔を浸透させて行くとほとんど痛みを感じないのです。

それと、正座を長時間していると足の感覚が無くなるのは、足に血液が通りにくくなり、貧血状態になるために感覚が無くなるのですが、このテクニックを利用して、麻酔を打つ歯肉を指で強く押しつけ、貧血状態を作ってから針を打ち込むと、表面麻酔と同じような効果が得られる場合があります。

実は、私の抜歯する部位の歯肉からは1ヶ月ほど前から俳膿といって、膿が出続けていました。そのため、麻酔が効きずらいと思いこんでいたのです。事前に抗生物質を飲んでいたので、少しは状況が緩和されていたのでしょう。

麻酔の心配が無くなり、ほっと安心してしまいました。あとは、麻酔が効いているし、「お願いします」という心境になりました。

ここで、わかったのですが、患者さんが抜歯をする際の心配は2つあるということです。「痛みの問題」もう一つは、「その後の歯の抜けた欠損部をどうするか?」だと思うのです。

私の場合は、先生とよく話し合いをしながら治療を進めていますので、欠損部の不安は何もないのですが、やはり麻酔の心配は非常に大きかったです。

私が今後歯医者で生計を立てていくつもりなら、患者さんの痛みの不安を取り除ける歯科医師にならなければならないと思いました。

気が早いようですが、来年早々にある麻酔の勉強会へ予約の連絡をいれました(笑)。それと、十分に抜歯後の相談も、抜歯前、患者さんにしておかなければいけないとも思いました。

麻酔が大丈夫だと安心したとたん、体の調子がおかしい事に気がつきました。緊張がほぐれたとたん、急にトイレに行きたくなったのです。

「なるほど、安心するとトイレに行きたくなる場合もあるな!」また一つ勉強しました。

抜歯など精神的なストレスがかかる場合は、事前にトイレをすませてから来院してもらう必要もあるなと考えました。今日は勉強してばかりです(笑)。

ストレスが無くなると、とたんに気弱な男から歯医者の自分に戻っているから不思議です。

次に感じたことは、歯の治療中というのは、思いの外、呼吸がしづらいのです。大きく口を開け、鼻をタオルでふさがれてしまうと、ほとんど呼吸が出来ない。自分もタオルを顔にかけて診療するスタイルなので、これも気をつけなければならないと思いました。

インプラントや大きな外科手術をする際、消毒・滅菌の関係上、鼻の上を大きくふさいでしまうことがあるのですが、これは鼻にチューブを入れて呼吸しやすい様な配慮が必要があるなと思いました。

私の治療は抜歯と仮歯の作成を同時に行いながら進めていきますので、とても時間がかかります。そのため、いざ抜歯の段階になるまでには1時間以上も経過していました。

私の歯の場合は、かなり悪くなっていたみたいで、骨と歯が癒着しているアンキロージスという状態になっていました。そのため、普通の抜歯の道具では抜歯が出来ません。そのために、歯と骨の間にエンジン等で切断しながら抜歯を行っていきます。時間が経っていたので、だんだん痛みが出てきました。

変な話ですが、抜歯中の患者さんが訴える痛みというのはどんなものなのだろうといつも不思議に思っていました。麻酔は十分に効いているはずなのに。

実際に自分で抜歯の際の痛みを体験できたのは大きな収穫でした。抜歯をしている部位というのは、知覚が麻痺しているだけで、体に与えるダメージまでもが消えているわけではありません。そのため、意識では痛みがないだけで、体は十分悲鳴をあげているのです。そのため、麻酔をされると、症状の軽いところは、ふれられている事すら感じないですが、症状が重いと、普通の麻酔の量だけでは足りないのかもしれません。

実際の抜歯中の痛みというのは、全く感覚が無い中にかすかにつねられた様な違和感を生じるという感じです。ものすごい痛みというのではありませんでした。しかし、いままで知覚が全く無い状態で感覚が生じるというのは、患者さんとしてはとても驚くと思います。少し麻酔を足して貰うとその感覚も無くなりました。時間が経ってしまった抜歯は、抜歯前に改めて麻酔を追加するということが必要だなと思いました。

今回の治療は、私の体にとっても良い方向へ向かいましたが、私の歯科人生においても良い方向へ向かわせてくれました。

今後、まだまだ治療が続くので、いまからどのような体験が出来るか楽しみです。

今後もレポートを続けて行きます。

先生から患者へと
身にしむお勉強ですね。

by ゆここ | 2006/12/29 12:25:39

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