男性も健康志向くっきり
本日は日本経済新聞2009年11月10日分よりお届けいたします。
◇喫煙率最低36% 肥満5年ぶり減
たばこもやめて、ダイエットも-。厚生労働省が9日打ち出した2008年の「国民健康・栄養調査」で、人々の健康志向がくっきり浮き上がった。成人の喫煙率は21.8%と健康増進法が施行された6年前より約6ポイント低下。たばこ増税論議の影響などもあり、今後も“たばこ離れ”は進みそう。ここ数年進み続けていた男性の肥満傾向にも改善の兆しがみられた。
喫煙率を性別で見ると、男性は36.8%で前年よりも2.6ポイント低下した。03年との比較では10ポイント低下し、調査を開始した1986年以降で最も低くなった。
一日に一箱強(21本以上)吸う人は4人に一人。同省は「職場で分煙が進んだりオフィス街での路上喫煙が禁止され、喫煙場所が少なくなった」としている。
年代別では40代(51.9%)が最も多く、唯一半数超に。20代は40%を超えるものの、6年前より15ポイント近く低下し、若者のたばこ離れが進んでいる様子がうかがえる。
女性は9.1%で前年比1.9ポイントの低下。ここ数年、微増減を繰り返して男性ほど著名な禁煙傾向は見られなかったが、03年以降では初めて10%を下回った。
喫煙による健康影響の知識では「肺がんのリスクが高まる」ことを87.5%、「妊娠に悪影響」を83.5%が認識。喫煙者の半数超が禁煙を試みたい経験があった。
一方、メタボリック症候群対策などを意識してか、肥満の割合にも変化が表れた。身長と体重から算出される指数で「肥満」と判断される割合は男性で28.6%と前年(30.4%)を下回った。男性の肥満は04年以降増え続けていたが、5年ぶりに減少に転じた。女性は20.6%で前年とほぼ同時だった。
同省は「食生活の改善や定期的な運動を心がけている人が増えている」とみている。
調査は昨年11月に実施。喫煙率は8171人、肥満は6713人を無作為に選んだ。
◇街・駅 喫煙場所減る
路上喫煙への罰金、駅での全面禁煙などとたばこを取り巻く状況は厳しくなる一方だ。
歩きたばこを禁止する条例は、東京都千代田区が2002年にいち早く導入、名古屋や大阪市、福岡市など30以上の自治体に広がった。
近年は禁煙の「対象エリア」も急速に拡大。神奈川県では今年3月、屋内での喫煙を制限する全国初の「受動喫煙防止条例」が成立し、飲食店や宿泊施設に加え学校などの公共施設が規制対象となった。
民間でも私鉄各社に続き、JR東日本が今年4月、首都圏の主要圏の主要駅でホームを全面禁煙に。オフィスでの禁煙・分煙化も進み、「自宅の外でたばこを吸える場所」は確実に減少してきている。
こうした動きに拍車をかけそなのが、新政権のもとで浮上したたばこへの増税論議。仮に欧米並の一箱500円以上になれば、これを機に禁煙に踏み切る人は少なくないとみられる。
禁煙治療に詳しい大阪府立健康科学センターの中村正和健康生活推進部長は「タスポ導入やたばこ増税の論議のほか、タクシー車内などの禁煙化が背景にある」と指摘。
学校内の禁煙化にうより教員ら大人が禁煙する機械が減り、「未成年の喫煙者が減ったことも若者の喫煙率低下に影響している」とみている。
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