良い歯並びは子どもの頃に作られる!
本日は、第21回日本歯科医学会総会記念誌編集委員会の編集である『ご存じですか?ライフステージでわかる歯と口の健康ガイド』よりお届けいたします。
◇良い歯並びを作る方法は?
良い歯並びを作るためには、日常の生活の中で悪い歯並びを作らないように予防することが大切です。多くの場合、食生活が鍵になり、特に大切な時期は、母乳から離乳食、幼児食、成人食はと大きく食生活が変わる0~3歳の間です。よい歯並びを作るためには、少しの知識とそれを実行する少しの努力が、保護者の方に求められます。
◇舌は歯並びに関係しているの?
口は食生活と最も深い関係にあります。良い歯並びには、口の周りの筋肉がバランス良く鍛えられていることが必要です。
その中でも舌は、複雑な動きをする筋肉で、歯並びに大きく関係します。母乳を与え始めた頃の赤ちゃんは、生まれつき備わった動きで、口の中に取り込んだ乳首を上顎に当て、舌を前方へ動かしながら母乳を吸います。
離乳期に入ると、舌を使って軟らかい食べ物を後ろに送り、飲み込みを助けます。舌は、歯のないときから食べることに大きく関わっています。舌が正常に働くことが正しい歯並びを作ります。舌がうまく役割を果たすことが出来ないような癖は歯並びにも影響します。
◇母乳をやめないと歯並びは悪くなるの?
いつまでも夜間に母乳を与え続けると、歯並びに影響を与えることがあります。授乳期は、舌を前に出すような動きが母乳を飲み為に必要でした。しかし、生後4、5ヶ月たって離乳期に入り、スプーン、コップなどの食器を使うようになると、舌は食べ物の塊を喉の奥に送り込むような働きをするようになります。すなわち、離乳の時期は、固形の食べものを飲み込む方法を習熟していく期間でもあるのです。
コップが使えるようになった後も夜間に母乳を与え、舌を前に出す動きを続けると、時として悪い癖として残ってしまいます。これは幼児嚥下癖とよばれ、歯並びに影響を与えることがあります。多くの場合、夜間に母乳を与え続ける理由は、「泣いて、寝てくれないから・・・・・」ということのようです。
ちょっと頑張って、1歳をめどに母乳が止められるよう努力してみてください。
◇指しゃぶりはいつまで良いの?
長期間にわたって「指しゃぶり」を続けると、歯並びに悪い影響を与えることがあります。華選びの事だけを考えれば、すぐにもやめさせたいものです。しかし、必要以上に叱りつけたりして、子どもの心に負い目を負わせることがあれば本末転倒です。
おおらかな気持ちで、忍耐強く、「指しゃぶり」をやめる機会を探し続けることが大切なのではないでしょうか。
小学校入学を機会に子どもに言い聞かせ、「指しゃぶり」をやめられたという例もあります。この子どもはしばらくの間、歯並びに問題がありましたが、「指しゃぶり」をやめるときれいに戻りました。「おしゃぶり」も使いすぎると歯並びに悪い影響を与えることがあります。注意が必要です。
◇固いものを噛むと歯並びにいいの?
よく噛むことは消化に良いばかりではなく、口の周りの筋肉を鍛え、歯並びにも良いと考えられています。固いものを多く食べていた古代人は現代人に比べて顎がしっかりしていました。古代人のように固いものを食べることは現代では困難ですが、口の中で、左右それぞれ20回ずつ噛むことが出来れば理想的だと思います。
◇歯並びの治療開始時期はいつ頃?
受け口(反対咬合)は、早めに初期治療をうけることをお勧めいたします。最近では、3歳の頃から使える治療器具(ムーシールド)もあります。
ほかの歯並びの問題は7歳頃を目処に、一度、診察を受けた方が良いでしょう。
歯の数の異常や、上唇の中央にある小帯と呼ばれる部分が、歯並びに影響を与えることがあります。いずれにしても、歯並びは、親子で顔かたちが似るように、同じ傾向を辿ることがあります。定期健診を続け、時期を逃さず治療を開始することが望ましいと考えます。
参考文献 『ご存じですか?ライフステージでわかる歯と口の健康ガイド』 第21回日本歯科医学会総会記念誌編集委員会の編 柳澤宗光著 医歯薬出版
最近のコメント