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2009年3月20日 (金)

オキシトシン

本日は、AERA with Baby 08年春号よりお届けいたします。

◇出産に関わるホルモン「オキシトシン」が記憶力をアップさせる?

近年、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の松井秀樹教授たちが行っているオキシトシンの研究が注目を集めています。

オキシトシンとは、妊娠、出産ととても関わり合いの深いホルモン。出産前は、子宮の収縮を刺激して陣痛を促す働きがあり、出産後は母乳の分泌を促したり、気持ちを鎮め、行動を落ち着かせる効果があると知られています。

松井教授のグループはこのオキシトシンに反応する受容体を、記憶・学習を司るいわゆる脳の一部、海馬に発見。授乳中の母マウスと、妊娠経験のないマウスをえさを置いた迷路に入れて、記憶とオキシトシンとの関係を調べました。

授乳中のマウスが間違える回数は妊娠していないマウスの約6割。3日後には同じ実験を行ったところ、やはり授乳中のマウスが間違える回数は妊娠していないマウスの約7割と少なく、授乳中のマウスの方が高い記憶力をもつと分かったのです。

そこで、授乳中のマウスに投薬し、オキシトシンが作用しないようにしたところ、間違える回数は、妊娠していないマウスと同レベルにまで上昇。

こうして授乳により分泌されるオキシトシンが記憶力を増す効果を持つと証明されました。つまり、授乳する母親の記憶力がアップする可能性もあるといえます。アンケートでも産後、「忘れっぽくなった」というお母さんが多いですが、それは脳のせいではなく、育児による体力の消耗が原因かもしれません。

オキシトシンが記憶力に影響するというメカニズムが明らかになったのはこれが初めて。最近ではオキシトシンの坑不安、坑ストレス作用にも注目した実験が進行中です。

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