白米と玄米の違いはなにか?
本日は、医学博士 西岡一先生の著書「噛めば体が強くなる」からお届けします。
白米と玄米の違いは何か?
私たちは今、当たり前のように白米を常食にしています。
なかには玄米党や麦飯党の人もいますが、そのような人は少数派です。
レストランで注文するカレーライス、焼き飯、定食、コンビニで買うおにぎり、弁当など、何でも白米が当たり前になっています。
高級料亭でも、最後はいかにも美味しいご飯でお客をもてなすかに腐心しています。確かにふっくらとやわらかい白米は美味しい。お米も改良が重ねられ、ササニシキ、コシヒカリなど優秀で美味しい品種を誰もが口にすることが出来るようになりました。
けれども、多くの日本人が白米を常食し始めたのは最近のことです。
米余りが叫ばれ、減反が始まった1970年(昭和45年)以後ではないでしょうか。それまでは、麦飯や玄米が普通でした。
戦前、私は京都市の中心で生まれ育ちましたが、そのころ主食は決まって麦飯で白米を食べた記憶は少ないのです。このことは我が家だけでなく、近所の家でも同じだっただろうと思われます。
ここで、白米と玄米はどう違うのかを述べておきましょう。
玄米とは、稲刈りをして取れた米からもみ殻だけを取り除いた、いわば素顔の米です。
この素顔の米からヌカを除けば胚芽米となり、その胚芽も取り除いたものが白米です。
実は、ヌカと胚芽には、ビタミンB1、B2、ニコチン酸、食物繊維、ミネラルが多く含まれています。玄米や胚芽米が健康食品といわれるのはこういう理由からです。
ビタミンB1は糖質を分解する補酵素の役割や中枢神経や末梢神経を正常に保つなどの働きがあり、ビタミンB2(リボフラミン)は細胞の再生やエネルギー代謝を促すなどの役割を果たしています。
ニコチン酸(ナイアシン)はインシュリンやホルモンの合成を促し、血液循環をゆくするなどの働きがあります。
食物繊維には便秘や大腸癌を防ぐなど様々な健康効果があります。
ミネラルとは、カルシウム、カリウム、マグネシウム、リンなどの無機質のことですが、酵素の働きを助けたり、体液の酸度を一定にするなど、体のホメオスタシス(恒常性)を保つ重要な働きを担っています。
白米は確かに美味しいですが、これらの重要な栄養は失われています。
それに、玄米や胚芽米は良く噛まないとのどを通りません。私の経験では、ほぼ30回程度は噛まなければなりません。もし、玄米を白米のようによく噛まないで食べたりすると、胃腸に余分な負担をかけ、胃腸があまりじょうぶでない人だと胃腸障害を起こす可能性があります。
したがって、玄米食は噛む習慣を付けるためには理想的な食材といえます。それに玄米は噛めば噛むほど米本来のおいしさがあらわれるので、玄米食を始めるとやみつきになる人も多いようです。
太平洋戦争のころ、内地の国民はもとより、前線にいた兵隊たちの食料も不足し、飯にはトウモロコシや大豆がたくさん混ぜられていたといいます。
このような飯は否応なく噛まないと食べられなかったらしいです。もし噛まないで飲み込むとすぐに消化不良を起こして下痢をしたという話です。
このため、兵隊達も飯をよく噛むことで健康を維持したのでしょうか。
最近、発芽玄米なるものが発売されています。発芽玄米とは玄米を温水に浸し、0.5~1ミリほど発芽させて乾燥させたものです。
発芽玄米には、マグネシウムなどのミネラル、食物繊維、ビタミンB1、ビタミンEなどが白米より豊富で、確かに健康には良さそうです。
とくに注目されるのは、ギャバと呼ばれる成分です。ギャバとはγ-アミノ酪酸の事で、抑制性神経伝達物質として重要な役割を果たし、血圧を下げ、神経鎮痛作用があります。
発芽玄米は酵素の働きでグルタミン酸からギャバが作られ、その量は白米の10~15倍、玄米の3~5倍であり、確かに白米や玄米よりも健康によさそうです。
ただし、発芽玄米は健康食品扱いをされていて、価格は白米の2~3倍もするのが難点です。
参考文献 噛めば体が強くなる 西岡一著 草思社
又 時々 玄米食べようかしら。