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2007年5月 4日 (金)

徳川家康は何回噛んだ?

本日は、西岡一さん著「噛めば体が強くなる」からのエッセーをお送りします。

一口、四十八回噛んだ徳川家康

天下統一を成し遂げた豊臣秀吉の後、三百年にわたる徳川時代の礎を築き上げた徳川家康。

彼の巧みな管理術、卓越した戦略は、時代の管理社会で見直されつつあります。それというのも、彼が強固な肉体の持ち主で、健康に恵まれ、長生きしたことが、大きな意味を持っています。

戦国時代を生き抜き、当時としては長寿の七十六歳まで生きました。

こどもの時から人質に出され、苦労をしつくすが、心の底には、今に天下を取るのだ、という気概を持ち続けたといわれます。

そのためには、今何をすべきなのかを、つねに考えていた事でしょう。勉学や武術も大事だけれども、それにもまして健康の重要性を肝に銘じていたのではないでしょうか。そして実際、彼は健康に恵まれたようですが、そえrは生まれつきだったのであろうか、運がよかったからなのだろうか。

残された記録や伝記から想像すると、彼は若い時から、相当健康に気をつかっていたようです。体をよく鍛錬したと記録さえrていますし、水泳の達人だったことも知られています。

それに肉体的な健康だけでなく、精神的な健康も自然に身につけていた様に思われます。何しろ、無理しない。

信長は「殺してしまえ」、秀吉は「鳴かせてみよう」と言い放った鳴かないホトトギスを、家康は「鳴くまでまとう」という気性の人としても知られています。

それに彼は食生活も質素で、麦飯と豆味噌は生涯欠かさず、酒もほどほどだったといわれています。

どうやら家康の生き方が、私たちの健康に大いに参考になるようです。彼は「健康十訓」を残していますが、その第一訓が「一口、四十八回噛む」です。

食べ物を一口入れたら、四十八回噛んだということです。これが彼を健康にし、長生きする秘訣だったかもしれません。

家康が大浜(現愛知県碧南市)で鷹狩りをしたとき、土地の有力者・長田平左衛門宅で食べた食事のメニューが残されています。

  • 大根まじりの麦飯
  • いなだ(ぶりの幼魚)のみそ汁
  • たつくり(ごまめ)のなます
  • こんにゃくの煮物

おそらく家康自身が所望したものであろうが粗食なのです。しかし、栄養のバランスはよいのです。

大根まじりの麦飯をよく噛んだというのです。たつくりや味噌には、カルシウムや鉄分が豊富であり、いなだや味噌は良質なタンパク源であり、こんにゃくには良質の食物繊維であるマンナンが含まれています。

彼はこれらを一口、四十八回噛んだというのです。

しかし、よく考えてみると、当時の人は、一般的にかなりよく噛んだにちがいないのです、主食だけをみても、玄米、麦飯、あわ、ひえなど、どれも噛みごたえがあり、そうとう噛まないと飲み込めないものばかりでした。

ですから、当時の人や、もっと古い人たちは、歯が丈夫で、下顎が発達していたといわれています。

そういえば、残された家康の似顔絵をみても、なかなか立派な顔です。とくに下顎の張りはなかなかのものです。

家康は子供を16人も作りました。最後の一人は六十六歳の時です。なんという生殖能力でしょう。この精力も強さの一つにはきっとよく噛んで食べたからに違いないのです。家康から学ぶ事は多いのですが、是非噛むことも見習いたいものです。

参考文献 噛めば体が強くなる 西岡一著 草思社

粗食で良く噛む。
自覚したいところです。


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