歯を支える構造とは
我々人間はほ乳類です。そのため、歯を支える構造は歯槽骨というソケットに歯が植え込まれた状態になっています。
ちなみに爬虫類や両生類や魚類の歯は顎骨から直接生えています。
歯肉から出ている部分を歯冠といい、その表面は人体で最も硬いエナメル質で覆われています。
歯肉に埋もれて目で見えない部分を歯根といい、その表面はセメント質で覆われています。エナメル質とセメント質の内側は象牙質で出来ています。
エナメル質もセメント質も象牙質も骨と同じ硬タンパク質のコラーゲンとハイドロキシアパタイトが主成分です。ただし、乳歯のエナメル質と象牙質は薄いので虫歯になりやすいです。
象牙質の内側には歯髄腔という空間があり、多くの神経と血管からなる歯髄が詰まっています。この歯髄腔は歯細管を介して、歯根膜(歯周靱帯)につながっています。セメント質と歯槽骨の間を埋めているのが歯根膜です。
歯根膜には、多くの毛細管と歯髄につながっている神経繊維が分布しています。この神経繊維は歯が受ける様々な刺激を感知するセンサーであり、その情報を脳に伝えています。歯と歯の隙間にごく小さな食べかすが挟まっているだけで気になるのは、鋭敏な歯根膜の神経繊維がそれを感知しているからです。
歯根膜は、コラーゲンを主な成分とする厚さ約0.2ミリという薄い結合組織ですが、咀嚼によって歯に加わる力を周囲にほぼ均等に分散して和らげるクッションの役割もしています。
参考文献 噛み合わせと顎関節症の治療と予防 志賀泰昭著 日東書院
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