口の介護予防2
口の介護に入る前に今回は、「食べる機能」をもう一度理解しておきましょう。
食べる機能に直接関係する主器官として口腔、鼻腔、咽頭、喉頭、食道があります。
口腔は食物を取り入れる入り口であり、消化器官の入り口と捉える事ができます。前方の口唇(上・下唇)、側方の頬、上部の口蓋、さらに下部の舌、口底で囲まれた空間で、後方は咽頭へとつながっています。口腔は口腔粘膜で被覆されており、その表面は、唾液により潤されております。
口唇(くちびる)の機能
- 物を挟み(捕食)、保持する
- 咀嚼時に口裂を閉じ、食物が口腔内に洩れるのを防ぐ
- 頬とともに口腔内圧を保持する
- 咀嚼時、口腔前庭(舌のしたのあたり)に入った食物を固有口腔に押し出す
- 赤唇部は感覚が敏感で食物の性状を感知し、危険物の摂取を防ぐ
- 舌と唇がお互いを押し合い、歯並びを保つ
- 上下の口唇の開閉により息を調整して発声を調整する
- 表情をつくる
- 顎の開閉運動を調整する
頬の機能
- 食物をかみ砕く時、舌と協調し食物を歯列の上にのせ、そこに保持する
- 舌と頬で互いに歯を押し合い、歯並びを保つ
- 舌と共に口腔内を陰圧、陽圧にする
- 表情をつくる
口蓋(口の天井の部分)
- 舌により食物を押しつけられる事で、食物の性状をしる
- やわらかい食物を舌と共に圧縮し押しつぶす
- 口腔の上蓋となり、発生時の共鳴腔をつくる(発音に関すること)
- 軟口蓋は、嚥下時、鼻腔封鎖・食塊形成に重要な役割を果たす
- 口蓋の味蕾は味を受容する
舌の機能
- 捕食された食物を移送または保持する
- 食物の物性や口腔内での形状、位置をしらべる
- 口蓋との間で柔らかなものを押しつぶす
- 舌の味覚、一般感覚により、嚥下に適さない食物を選択する
- 舌感覚を刺激して唾液分泌を促す
- 食物と唾液を混合して食塊をつくり、嚥下時に咽頭に送り込む
- 舌根部粘膜の感覚は嚥下反射を誘発する
- 形を変えることで、溝音に参加する
- 口唇や頬の圧で食物を内側に動かさないように、舌で外側に押す
このように、普通に食事している感覚でも、口の中ではさまざまな部位がさまざまな働きをして食事をサポートしているのです。これが、何らかの原因で不具合が生じたら、全く食事が喉を通らなくなります。
明日から、その内容を少しずつご紹介できればと思います。
参考文献 財団法人 東京都高齢者研究・福祉振興財団 「実践!介護予防 口腔機能マニュアル 平野造彦 細野純著
口・・の中にこれだけの諸器官あって、それぞれ役目を果たして
いる、おどろきです、自分の身体に感謝。