歯石を取ってみよう2
昨日の続きから入ります。
昨日、歯周病は生活習慣病と思われているが、実は「感染症」という話を書きました。
そのことをふまえて、本題に入ります。
・感染症の原因菌(歯周病原菌)
歯周病には2つの感染経路があります。
- 誰もが持っている(内因性)の細菌に、防御力の低下した時に日和見感染として発症する場合。
- 本来健康な人には存在しない細菌が、人から人へと感染して発症する場合
*若年性(若い人が感染してしまう)歯周炎の原因菌とされるA.a(Actinobacillus actinomycetemcomitans)という菌は、思春期の頃両親から感染します。
また、P.g(Porphyromonau gingivalis)という菌は、感染するためには最低10数年の接触が必要とされています。またこの菌には夫婦間の感染もあることが報告されています。
歯周病そのものは遺伝するものではありませんが、家庭環境や歯周病を進行させやすい素因の存在(口移し、同じスプーンを使うなど)は無視できません。家族全体の診査や治療が必要なのは、このような理由によるものです。
・症状が重くなる場合の2パターン
・非常に病原性の強い細菌に感染した場合
煙草も吸わず、糖尿病のような全身性疾患もなく、生体の抵抗力も特に低くないのに、歯周炎になる場合もあります。通常の抵抗力を上回る非常に強い細菌に感染した場合です。早期発現型歯周炎はこれにあたります。
・抵抗力が極めて低い場合
誰もが持っているような細菌でも、重い歯周炎を引き起こすことがあります。身体や歯周組織の抵抗力が、他の人より低くなっている場合です。その原因となるものを危険因子(リスクファクター)といいます。
・歯周病の進行を止めるには
歯周病の進行を停止させるには、まずプラーク(歯垢・リスクファクター)を出来るだけ取り除き(プラークコントロール)、歯周病原菌を減少させなくてはなりません。
同時に患者さんの局所的、全身的な危険因子を取り除いたり、改善することによって、生体の防御力を強めることも必要です。
毎日の生活リズムを規則正しくし、ストレスの少ない生活環境を作ることも大切です。ストレスが多いと唾液の分泌量が減少し、その結果唾液中の免疫物質が十分働かなくなるからです。十分な唾液の分泌は、虫歯や歯周病の予防に重要な役割を果たし、口腔の健康増進に大きく影響いたします。
前回と2回に分けて歯周病治療の意味を解説してきましたが、次回はいよいよ歯石除去に入ります。バイオフィルムという強敵も現れます。これは手強そうです。
参考文献 やさしい説明、上手な治療(2)歯周治療 末永書店
家庭では食後の歯磨き、しっかりでしようか。
それと、時々の検診ですね。
しろくま歯科医院のHPを拝見させていただきました。とてもよくできていて感銘しました。自分も歯科医師2年目のDrですが是非非常勤で働きたいと思いました。とても勝手な事とは思いますが良かったらお考えください。よろしくお願い致します。