脱落歯の取り扱い
しろくま歯科医院の周りには多くの幼稚園や保育所、中学校、高校と多くの教育機関があります。
そのため、怪我のために歯を破折したり、抜けてしまったりするお子さんが非常に多いです。
また、2歳以下のお子さんは足下が不安定のため、良く転びます。しかし、まだ手を付いて顔を守る事が出来ないため、直接顔を地面に強打してしまい、歯が抜け落ちてしまうことがあります。
保育所でも同様なことが起きやすいです。
なぜ、このような話をするかというと、事故の後、その歯の処理しだいでは大事な歯が付かない(元にもどらない)ことが多いのです。
運悪く、歯が落ちてしまった場合(外傷、脱臼)、歯の取り扱いが非常に大事になります。
脱落後、歯を元に戻す(再植といいます。)にはいくつかの条件が必要になってきます。
①脱臼の状態(歯が途中で折れていないか)
②脱落後の経過時間
③歯槽骨(歯を支えている骨)の中での歯牙の変位程度
④保管の方法(これが不完全脱臼においてもです)
⑤歯冠(歯の頭の部分)および軟組織の損傷程度
⑥歯槽骨の骨折の有無
⑦歯根膜の損傷の程度(部位は図を参照してください)
では実際に歯が脱落してしまった場合は、どの様な対応を取ればよいのでしょうか?
言うまでもなく、すぐ歯科医院に持参して欲しいのですが、この歯科医院に持ってくる際の処置をご説明いたします。
まず、地面に落ちて歯が汚れてしまった場合でも決して「水道水ではあらわないように」してください。水道水に含まれる塩素によって歯の表面の歯根膜と呼ばれる組織が壊死してしまうからです。ここが駄目になってしまうと、歯も上手く元には戻らない場合があります。
同じ理由で、歯根膜が付いている根の部分も触らないようにしてください。
次に、脱落した歯が駄目にならないように歯牙保存液等に入れて持ってくる必要があります。代用品が無い場合は、牛乳等でも構わないのですが、牛乳は成分が安定していない場合が多く、時間が経ってしまうと牛乳が腐ってしまう恐れがあるため、緊急の場合は仕方がないけれど、出来るだけ専用の歯牙保存液に入れて置いたほうが望ましいです。
この歯牙保存液なのですが、もし夜中に歯が事故で脱落してしまい、近所の歯医者が休診な場合でも、十分歯を健全な状態で保つことができるので、小さい子供がいるご家庭とか幼稚園、保育園の先生方は、いくつかこの保存液をご自宅に置いておくほうがよいかもしれません。
近くの歯科医院で注文していただければ1週間ほどで入手できると思います。
「歯牙保存液ネオ」という製品ものです。
参考文献 クインテッセンス2002 voI21 no1脱落歯の保存と歯牙保存液についての考え方 中川寛一 市之川 浩 著
興味深い話で、昔は聞きませんでした、
医学の進歩に驚きました。
ティースさま
お子さんは、歯を脱落しやすいのです。今後も注意が必要です。