出来るだけ塊で。
歯科の治療は出来るだけ痛くなく、短時間に終わらせたいですよね。
これは、私自身も虫歯が多い少年時代を過ごした為に、いつも治療中に思っていた事です。
痛みが少なく(ここで、「痛みが無く」とは書いていない所が悲しい・・・)、短時間で治療を終了するには事前の適切な診断と治療計画がとても大事です。
特に大きな口を長時間開けて居ないと行けない親知らずの抜歯の時も事前準備がとても大切です。
親知らずを抜歯する際のとても大事な診断として、断層X線撮影(CTスキャン)にて親知らずの骨に埋まっている位置関係が非常に需要となってきます。
下顎の親知らずの場合、神経との位置関係、親知らずが骨に埋まっている状態のパーセンテージ、親知らずの歯冠の方向(頬側に向いているのか、舌側に向いているのか)、親知らずの後方先端の向き(口腔内へ向いているのか、神経側に埋まっているのか)、歯肉の状態などを加味して、切開線と骨の除去量、除去の形態、親知らずの切断の方法(歯冠で落とすのか、出来るだけ細かく切断するのか)を決定します。
診断をせず、無計画に切開を行い骨を削り始めてしまうと、もともとのCTで撮影した骨と削ってしまった骨の形状が変わってきてしまうので、手術中の指標を失い、手術が困難なものとなってしまいます。
先日行った親知らずの抜歯なのですが、親知らずの歯冠(頭の部位)が舌の方へ向いていて、開口量(口の開く量)が少ないこともあり、計画通りに歯冠を削ってしまうと、「舌」を傷つけてしまう恐れがあるため、当初の計画を取りやめ、親知らずの歯冠をいくつかのパーツに細かく削って抜歯する事にしました。
親知らず抜歯は、出来れば大きな塊(歯冠と歯根の2つ、、、とか)で抜歯出来れば、楽で安心です。
細かく分割してしまうと、歯の破片の取り残しや器具が届かない奥へ移動してしまうので、とても厄介です。
この患者さんは歯冠を細かく分割しないと行けなかったので、大変苦労しました。
親知らずは出来るだけ「塊」で抜歯して行きたいですね。
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