歯はなぜ抜かれるのか?
私は、暇さえあると本屋へ行くのですが、今回も本屋で「歯科受診の常識」という本を発見。
副題に「歯科に行くまえに読む本」と書いてある。
患者さんの心理を知る事もとても重要と思い、迷わず購入。
その中の冒頭に書いてあったコラムです。
歯はなぜ抜かれるのか
人は誰でも、歳をとれば身体が老化します。白髪、老眼、そして入れ歯などは、老化の減少と考えられています。
歳をとると誰でも白髪が増え、老眼が進み、歯は徐々に抜け落ちて入れ歯がどんどん大きくなっていくものと、ほとんどの人は考えている様なのです。
確かに、白髪や老眼は「老化」の現象で、誰もが避けて通ることの出来ない「老化現象」でしょう。
しかし、入れ歯は老化の象徴ではありません。なぜなら、歯が抜けるのは決して老化によるものではないからです。
つまり、どんなに高齢になっても、「年をとった」という理由で歯が抜け落ちることはないということです。だからすべての人々が、たとえ百歳過ぎまで生きたとしても、ただの一本の入れ歯も入れずに、死ぬまで自分の歯でモノを噛めるはずなのです。
それが信じられなかったら、歯が抜かれる原因を考えてみてください。「寿命」とか「老化」という理由で歯を抜かれた人を見たことがありますか。
よく、「日本人の歯の平均寿命は何歳」とか「一番寿命の長い歯は犬歯」といった話を耳にしますが、この場合、「寿命」という言葉を使うのは間違いといって良いでしょう。
なぜなら、「寿命がつきて」抜かれた歯など存在しないからです。「老衰」で抜かれる歯もないし、「老化」で抜け落ちる歯もないのです。
それでは、歯は、いったいどんな理由で抜かれるのでしょうか。答えは至極簡単です。「虫歯」か「歯周病」で抜かれるのです。
もっと詳しく言うと、虫歯やその継発症、つまり虫歯が原因でその結果生じた病気か、あるいは歯を支えている骨が歯周病によって消失してしまった結果、歯は抜かれるのです。
それ以外の理由で抜かれる歯は、極めて例外的なもので、問題にならないほどの微々たる数です。たとえば、交通事故やスポーツ事故などで歯を強打して、折れてしまった場合などです。
だから要するに、「虫歯」や「歯周病」にかからなければ、いくつになっても歯は抜かれないのです。また、もしかかったとしても、治療をすれば歯は抜かれないはずです。
しかし、かなりの知識人も含めた圧倒的多数の人々は、年をとれば「歯は抜かれるのが当たりまえ」、あるいは「歯が抜かれるのは、加齢に伴う自然の成り行き」と考えています。それでいながら、「寿命や老化という理由で歯を抜かれるのは、加齢に伴う自然の成り行き」と考えています。それでいながら、「寿命や老化という理由で歯を抜かれる人はいない」という説明にも納得します。
前述したように、実際そのような理由で歯を抜かれる人など存在しないからです。
多くの人々は、年と共に歯を失っていくことをなぜ「自然の成り行き」と感じているのでしょうか。
それは、「年をとれば、ほぼすべての人々の歯は確実に失われていく」という否定しようのない現実があるからでしょう。どんなに一生懸命歯の治療を受けても、年と共に歯は抜かれていきます。いくら歯の治療を受けても駄目なのだから、それは「年のせい」だろうと考えるのは当然かもしれません。
参考文献 歯科受診の常識 歯科に行くまえに読む本 飯塚哲夫著 愛育社
心強く思いました。
自分の責任と予防に務めます。