しろくま歯科医院 WEBサイトへ

しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
毎日のケアについてのアドバイスを載せていきます。
calender

2025年8月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
AED
当院では、心停止の救命措置に必要なAED(自動体外式除細動器)を設置しております。

最近のトラックバック

アーカイブ

リンク



« またやってしまったかも(泣) | メイン

2025年8月 5日 (火)

重合歪み。

私が大学卒業間際に「どうしても補綴第三講座(部分入歯)の大学院に行きたい」と思ったのは3つの思いがあったのです。

1つめは、祖父と父が所属していた講座であったから、私も開業するなら祖父や父と同じ環境で学びたいと思ったのです。

2つめは、憧れの先生がその講座に所属していたからです。何度もこのブログにも書いているのですが、この先輩との間にはとあるエピソードがあります。

卒業間近の時に大学の図書館で勉強した帰りにセブンイレブンでこの憧れの先輩がいたので、思い切って声を掛けてみたのです。「先生、私、先生と同じ講座の大学院に行きたいんです」って。その先輩は「お、良いね。是非待っているよ、国試頑張って」と言われたのです。

無事、国家試験に合格して講座に着任してみると、その先輩は退職していたのです(泣)。

(ただ、その後、その先輩とは縁が切れずに今でもずっと仲良くさせて貰っています。海外へ噛み合わせの勉強へ行かせてくれたのもその先輩先生でした。今でも感謝しても仕切れません。ありがとうございます。吉田浩一先生)

3つめは、渡辺淳一さんの著書「遠き落日」という本を読んでいたからなんです。

この本は野口英世の反省を書いた小説で、特に脳内に梅毒の原因菌のスピロヘータを発見する事をクライマックス的に書いている、ある意味研究小説みたいな感じだったのです。私も是非、大学院で細菌の研究をしてみたいと強く強く思ったのです。

運良く3枠しかない大学院の枠の一つに滑り込めた私は教授に「義歯と細菌の研究がしたい」と直訴しました。

しかし、運悪く、一つ上の先輩が「インプラントと細菌」をテーマにした研究を開始していたため、同じ様な研究のため、私の夢は敢え無く挫折です(苦笑)。

そこで私に与えられたテーマが「局部義歯におけるレジン床の重合歪みの研究」というなんとも地味でだれよやりたがらない研究テーマでした。

どんな研究かといえば、入れ歯のピンクの歯肉色したプラスチック部位が義歯の製作過程でどの位歪むのかを計測するというものでした。

朝から晩まで計測用の入れ歯を作り、計測し、重合(材料を硬化)し、計測し、また分解して、計測用の入れ歯を作り、計測し・・・・といった事を延々と続け、データをパソコンに打ち込んでを地味に繰り返すのです(私が地味な仕事を延々と繰り返されるのはこういった地味な訓練があったからかもしれません)。

余談ですが、私の診療の軸が歯周病(細菌)から噛み合わせに移ったのは大学院時代のトラウマがあったからかもしれません・・・。

で、大学院を卒業する内に知らず知らずに私は入れ歯の歪みのプロフェッショナルになっていました(笑)。

当時は嫌で嫌で仕方が無かった研究が今は重要な飯の種になっているのですから、世の中何が正しいか分かりません。まさに人間万事塞翁が馬ですね。

だから私は開業する時は義歯の重合には納得いくものにしたいという思いで、当時(多分今も)、一番十号歪みの出ない重合機を購入してずっと使ってきました。

ただ、20年以上も毎日酷使していたか、また故障してしまいました。

もう何度目かの故障なのでもう新しいものに交換しないと駄目かもですね。

借金する為に仕事している毎日です(苦笑)

Img_6444

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/161388/34280394

このページへのトラックバック一覧: 重合歪み。