最後のiaaid-Asia
今月の19、20日に仙台の歯科医師会館にて2年ぶりのiaaid-Asia学会が開催されました。
これはオーストリアのスラブチェック教授と佐藤貞雄先生のコンセプトを具現化したシークエンシャル咬合を軸とした学会です。
口腔内の上顎の歯と下顎の歯の関係だけではなく、そこに顎関節の動きを加え、上顎の歯と下顎の歯の噛み合わせとの関係を関連づけて考えられている所が他の咬合の考え方と一線を画する所です。
顎関節と咬合を一緒に考えるなんて、当たり前だろと反発する先生もいるかと思います。
実際、私も最初はその考えに反発を覚えて抵抗しました。
ただ、このシークエンシャルのベースになっている咬合は、アキシオグラフという顎の動きをコンピュータで計測し、その計測したデータから患者さんのウィークポイントを発見し、患者さんの顎がどんな動きを求めているのかを推測し、咬合に付与していくというのが特徴なのです。
経験や勘といった不確定要素ではなく、データという万人が共有出来る数値を使っていますので、良くなる経過も駄目になってしまった原因も手に取るように分かります。
今までの咬合治療が地図や記憶を頼りに目的地をめざすとすれば、このシークエンシャル咬合はナビゲーションシステムを用いて目的地に向かう感じと思っていただければ良いと思います。
ちゃんとデータが「目的地周辺です!」って教えてくれますから(笑)。
かなり前置きが長くなってしまいましたがそういう学会なのです。
今回私は技工士の黒澤くんと二人でこの学会に参加しました。本当は衛生士さんも参加させて来たかったです。私だけがこのコンセプトを知っていても実際に治療をする事は出来ません。スタッフの協力は必須なのです(笑)。それとやる気のある奥羽大学の4年生(今年5年)の平田さん。
今回の学会のコンセプトは『顎関節と咬合』。
その為か、顎関節の関する基調講演や招待講演が目白押し。
顎関節の話しは噛み合わせの基本なので、少しでも多く聞きたい。色んな知見を垣間見たい。
特に今回嬉しかったのは東京歯科大学教授、阿部伸一先生の「環軸関節を中心に考える頭頸部機能解剖学」というもの。
阿部先生は今一番聞きたい解剖の教授と言われていて、研修会もいつもキャンセル待ちという盛況ぶり。
私は顎関節周りの軟組織(神経や血管)の話しをずっと聞きたかったのです。個人的にも顎関節周囲の解剖を解剖学の清書を購入して調べたりしているのですが、なかなか統一見解が得られずらい難しい場所なのです。
そこを今回丁寧に、動画、画像、図式を交えて丁寧に解説してくれました。ほんとに長年の悩みが解消したすっきりとした気持ちになりなした。この学会の会長でもある佐藤貞雄先生も同じ悩みを持っていたらしく、私が「教授が質問が終わったら質問しよう!」と思っていた矢先、私の悩みの質問を阿部先生にしてくれたくらいです。皆悩んでいたり、疑問に思っていたんだなと納得。
だって、患者さんの症状を見てみると顎関節周りの組織が原因ではないかなと思う症例が多く、気になるもの。
この阿部先生の話を聞けただけでもみっけものでした(ラウンジに展示してある著書ももちろん購入)。
初日の夜は懇親会。
いつもこの学会の懇親会は席指定なため、人見知りの激しい私には苦痛でした。だって、全くお会いしたことの無い先生達と2時間も過ごせないよ〜〜(学会側は交友を広めましょうって意図があるみたいだけどそれは私には無理)。
今回は立食パーティー形式だったので、メチャクチャ気が楽でした。
沢山食べ、飲んだ楽しい懇親会でした。
2次会は皆さん、それぞれの組みに別れて楽しい仙台の夜を楽しむべく、散っていきました。
私は、人混みに疲れてしまい、とにかく一人になりたくて仙台駅前の映画館で一人映画を鑑賞
『Assassin`s creed』というアクション物。面白かったのか面白くなかったのかと言われれば、面白い部類に入ると思うけど、脚本にかなり無理がある気がする。なんでそうしたいの?なぜしなければいけないの?というちょっとした疑問が最後まで解消されること無く終わってしまった。
映像やアクションは格好良くて予算もふんだんに使われているだけに惜しいなって感想。
ちょっともやもやしながら、ホテルに帰りました。
二日目の日程は、お待ちかねの中山先生と長谷川さんの「咬合再構成における歯科医師と歯科技工士のチームアプローチ」。
このシークエンシャル咬合には欠かせないキャディアックスを歯科医師、歯科技工士共に上手くデータを活用して、短時間に格好良く治療している所はとっても素敵。プロの我々をうならせる内容なので、当の患者さんの感動納得ぶりはは想像に難くないです。いつも良い仕事してます。憧れしかない!!
しかしこの症例で考え考えなければならないのは、中山先生の要望にキチンと答える技工士の長谷川さん。ディスカッションの時に出ていた質問の中にもこういった事が含まれていて、その際、長谷川さんが、「私は、直ぐに先生に電話を掛けてしまい、何度も話合いをします」って言っていたのが印象的。
歯科医師の自己満足なデータではなく共有出来るデータをDrが取得し、それを活かせる知識と技術をもった技工士さんのペア。自分を見つめ直すと反省ばかりで、もっともっと向上したいと思わせるほろ苦い感想でした。
招待講演で東北大学瀧教授の「脳の発達、加齢、認知症、歯科領域のトピック」という講演も、顎関節の不定愁訴を絡めて考えられる非常に興味深い内容でした。思わず学会のラウンジの商品展示で瀧先生の著書を買ってしまいました。しかも読みやすくて面白かったです(笑)。
最後は安定の佐藤教授。自律神経系の私が聞きたかった話。前日解剖の阿部先生に質問していたのもこの項目でしたよね。症例を交えてお話ししてくださるので「フムフム・・・」と納得。
今回の学会はとにかく良かった。知りたいところがきっちり分かった。
大会長の仙台の杉山先生ご苦労様でした。大会をサポートして頂いた水滸会の皆様ありがとうございました。
今回で、このiaaid-Asianoの学会はひとまず閉会するそうです。
さらに大きくなって別の名前でグローバルに世界展開するそうです。
お疲れ様でした。
最後の頂いたサティフィーケートが「IKARI」になっていたにはご愛敬(笑)
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