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2008年1月18日 (金)

口呼吸が免疫システムを乱す

本日は、西原克成先生の「これだけでは病気にならない 顔と口の医学」の中からお届けいたします。

口呼吸が免疫システムを乱す

呼吸には内呼吸と外呼吸があります。肺で血液のガス交換を行うのが外呼吸であり、細胞内で行われるエネルギー代謝が内呼吸です。

そして、外呼吸と内呼吸を取り持つのが血液とリンパ液であり、血液とリンパ液は心臓循環系におよって全身をめぐります。

人には他の哺乳動物にはない、「口呼吸が可能」という構造的な欠陥があります。口呼吸では、扁桃リンパ輪が乾燥してカビが生えたような状態になり、症状のないまま扁桃組織にウィルスや毒性のない常在菌が棲みついてしまいます。

扁桃リンパ輪に棲みついたウィルスや常在菌は、リンパ濾胞(りんぱろほう リンパ節においてT細胞やB細胞がそれぞれ集合して形成している細胞集団)のM細胞から、とめどなく白血球に取り込まれます。

リンパ濾胞内で産生される抗体のIgAは、分泌先の唾液と鼻水と涙が口呼吸で涸れてしまうと行き場を失ってしまいます。そこでIgAは、リンパ液を経て血液中に入り込み、腎臓のミトコンドリアに達し、これを破壊します。これによって「IgA腎症(ネフローゼ)」を発症するといわれています。

口呼吸の習癖を持っていて、浅い呼吸をし、冷たいもの中毒で腸を冷やすと、すぐに循環系が障害されます。その結果、全身の細胞で行われている内呼吸の主役であるミトコンドリアの働きが阻害されます。同じ遺伝子を持つ60兆の個々の細胞は、もともと一つの細胞で生きている原生動物とまったく同じシステムで生きており、なおかつその60兆の細胞が協同して一個体を形成して原生動物を同じように生きているので、外呼吸が直接内呼吸に影響医するのです。

口呼吸による典型的な慢性疲労

外呼吸が循環系をどのように障害し、それがさらに肺や腸、脳、膵臓、生殖器にいたるまでの全身にいかに障害を及ぼすかの症例をしましましょう。

激しいめまいがするといって受診した50歳代の男性の医師がいました。既往歴として、心筋梗塞、潰瘍性大腸炎、じんま疹、不眠、慢性疲労、筋肉痛などがありました。

体温を測ると、35.5度しかありませんでした。口呼吸と冷たい物中毒と骨休め不足の結果です。

そこで、口呼吸を鼻呼吸に矯正するトレーニングを行うとともに、ノーズリフト(呼吸をしやすくする装置)を使用し、鼻呼吸体操で横隔膜呼吸を施行し、さらには体を温めすようにすると、めまい症状もじんま疹に治まり、体温も正常に戻りました。

しかし、デパートで長時間の買い物をする程度で下痢をしたり、心肺に不調が生じたりするというので、血液を観察しました。

今日では、採血を3000倍ほどに拡大して血液の状態を観察することが出来ます。すると、血球は凝集して重層をなしており、完全な酸欠状態でした。

口呼吸の名残で、喉に炎症が残っているのです。そこでさらに全身を温め、人工太陽光線を照射し、鼻呼吸体操をして、再び血液検査をしました。しかし、改善はほとんど見られませんでした。

これは、長年口呼吸と冷たいもの中毒と骨休め不足による過剰な重力作用のせいで、心臓の筋肉と、肺胞の上皮と間質細胞が腸の常在菌ですっかり汚染されていて、数ヶ月の鼻呼吸体操と保温では心肺の細胞内感染が治っていなかったことを意味します。

鼻呼吸体操で肺が酸素を吸収しても、肺胞の細胞に感染している好気性菌が酸素と栄養を横取りしてしまうので、赤血球に酸素が行きわたらないのです。心筋も細胞内感染をしているので、重い物を持ったり、長時間歩いたりすると、心臓が酸欠状態になって痙攣するのです。

そこで、この患者さんには、100%の酸素吸入を行い、外呼吸を活性化させるために20万倍に希釈したアドレナリン2リットルを粘膜下に注入し、同時に副作用のない抗生物質を点滴投与しました。

この治療によって、にわかに元気を回復し、「この20年間は体調不良で空腹感を思えなかったのに空腹を自覚するようになり、若い頃のように力がみなぎってきました」と行っていました。

この患者さんは、かつて、体力に自身のあるスポーツマンだったそうです。この症例は、こういうタイプの人が、超多忙、口呼吸、冷たいもの中毒によって陥る慢性疲労の典型です。

酸素吸入とアドレナリン注入後に血液検査をしたところ、血液内の酸欠状態はすっかり解消していました。

参考文献 これだけでは病気にならない 顔と口の医学 西原克成著 祥伝社新書

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