しろくま歯科医院 WEBサイトへ

しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
毎日のケアについてのアドバイスを載せていきます。
calender

2024年3月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
AED
当院では、心停止の救命措置に必要なAED(自動体外式除細動器)を設置しております。

最近のトラックバック

アーカイブ

リンク



« 味覚を育て本物志向に | メイン | 口から始めるアンチエイジング2 »

2008年1月11日 (金)

口から始めるアンチエイジング1

本日は、鶴見歯科大学教授で、ドライマウスを研究なされている斉藤一郎先生の著書「現代病ドライマウスを治す」からお届けいたします。

口から始めるアンチエイジング

鶴見歯科大学付属病院のドライマウス専門外来にいらっしゃった2000人を超える患者さんを診察する中で、非常に興味深い事実が浮かび上がったので、述べておきましょう。

ドライマウスの患者さんの中で、シェーグレン症候群などの病気で唾液腺が完全に破壊されているケースは全体のわずか8%であり、残りの92%は唾液腺そのものは正常なのにうまく機能していない、ということが明らかになったのです。

さらに、ドライマウスによって分泌量が少なくなっている患者さんの唾液はフリーラジカル(不対電子)のレベルが高く、唾液の分泌量が正常な人はフリーラジカルのレベルが低い、問いいうことも分かりました。

つまり、フリーラジカルによる唾液腺の機能不全がドライマウスの直接的な原因となっていると考えることが出来るのです。したがって、フリーラジカルを除去することが出来れば、ドライマウスも改善されると予測出来る訳です。

さらには、フリーラジカルが関与しているさまざまな生活習慣病も予測・改善できるでしょう。

それだけではありません。フリーラジカルは老化を促進させる主因とされていますから、フリーラジカルを除去することによって、若さを維持したり取り戻したりすることも可能になるはずです。

唾液には老化の元凶となるフリーラジカルを分解・除去する成分が含まれていることは明らかです。良く噛んで、唾液の分泌量を増やすことが老化の防止や若返りといったアンチエイジングに繋がるわけです。

アンチエイジング歯科医学

一般に、人は歯が抜け始め、義歯を装着するようになると、とたんにQOL(生活の質)が落ちてしまいます。

いうまでもなく、口は、食べる・味わう・飲む・話すといった人間の根本的欲求を司る器官です。したがって、口の機能が落ちると、とたんにエイジング(老化)のスピードが速まってしまうのは明らかです。

口の機能や唾液は、医療の最前線で大きな注目を集めています。というのも、唾液には若さを保ち老化を防ぐ物資が含まれていることが明らかになり、また、「噛む」という行為そのものが脳細胞を活性化させることも分かって来たからです。

つまり、「口の働き」は「老化」と密接に繋がりがあることから、予防医学の中心を担うアンチエイジング医学の観点からも盛んに研究が進められているのです。

予防医学は、医療体制崩壊の危機に瀕している現在の日本では特に重視されています。病気を治すことも重要ですが、病気にならないように予防することはさらに大事なことであり、健康で生産的な老後を送れる人口が増えることは、そのまま社会における経済の活力にも繋がるからです。

病気にならないこと-これは、そのままアンチエイジングに繋がります。そのためにはやはり心身の状態を把握することが重要課題となります。

心身の状態を踏まえてライフスタイルの変更や改善を促していくというのが、アンチエイジング医学の核となる部分といえます。

アンチエイジングに対して、歯科ではどのようなアプローチが可能でしょうか。ここでは、歯科医学がどのようにアンチエイジングに取り組んでいるか、その実態を知っていただくために、私が所属する鶴見歯科大学歯学部における取り組み方を例に挙げてご説明しましょう。

鶴見歯科大学歯学部付属病院の専門外来では、ドライマウス、口臭、摂食・嚥下リハビリテーション、白くて美しい歯外来に続き、2005年7月にアンチエイジング外来を開設し、医科と同様の検査や対処法とともに、歯科独自の対応も行っております。

取り組みの内容は、「唾液分泌の促進」「抗酸化物の口腔粘膜からの摂取」「筋機能療法による顔面・口腔周囲筋のトレーニング」「医科と歯科の連携による坑加齢医学の実践」と、大きく6つに分けることができます。

私たちは、根拠のない医療を行うことはありません。これは、現在の医療の主流となっているEMBの考え方にも通じています。

EMBとは「エビデンス・ベイスド・メディシン」のことで、日本語に訳すと、「科学的根拠に基づいた医療を行うこと」です。

EBM における「科学的根拠」とは、科学的証明力の高い情報の事をいいます。特に臨床的なエビデンスとは、「特定の偏りのない方法で、人を対象として行われた臨床データを、適切な方法で統計学的に分析して得られた結果」と言うことになります。

ですから、研究室レベルの実験によって得られたデータをもとにあくまでも実際の臨床の現場で検証し、そこで得られたデータを解析することで効果があるかどうかを判定します。

当然、検討する症例数が多ければ多いほど、その結果の信頼度は高くなります。わかりやすく言えば、実際にたくさんの人に効果が認められる療法なら、他の患者さんのにもその効果が期待出来るということになります。

明日へ続きます。

参考文献 「現代病」ドライマウスを治す  斉藤一郎著 講談社 

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/161388/10971506

このページへのトラックバック一覧: 口から始めるアンチエイジング1

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。