仮歯
昨日行った研修の後の話です。
研修も無事終わり、その日は診療をせずそのまま解散になりました。
いつもは晴れている日中に外出するなんて事はないのですが、久しぶりに外に出てみました。
思いっきり深呼吸すると、とても気持ちが良く、「たまには骨休みも大事」と思い切って溜まっているDVDでも消化しようと思い立ちました。
(考え方が基本的にインドアなので、籠もることばかり考えてしまう)
自宅に戻り、冷蔵庫から買いだめのアイスを食べる事にしました。40近いおじさんのくせにアイスが大好きで、いつも買い置きをして貰っています。なぜか、日ごとの合間や仕事が終わった後に食べると疲れがとれる気がするのです。
アイスを食べようと、少しかじったとき、「ぴきっ!」という音と共に、違和感が口の中に広がりました。
急に思い出しましたが、私は今、歯の治療を受けているのです。現在は悪い部位の歯の抜歯が終わり、歯肉の治療を時間をかけて行っているところなのです。その部位の仮歯が折れてしまったのです。
「・・・・・・・困ったな。」
私は、歯医者ですが、さすがに自分の歯を治すほど器用ではありません。しかし、この日は既に技工士さんや衛生士さんも帰宅してしまっています。
仕方が無く、DVD鑑賞は断念。自宅からまた診療室へ逆戻りです。
鏡の前に立ち、自分の仮歯を慎重にはずしました。前歯が無い自分の顔は本当に間抜けです。妻はそんな私を見て大笑いしています。携帯で写真まで撮ろうとしています。それは止めて!!
自分で口の中で作業するのは不可能ですから、自分で歯の型を取る事にしました。
印象剤を練って、口に入れていきます。ひやっとした感触と圧迫感が同時に口の中に広がって行きます。
自分の歯のことなので、急いではずして作業に取りかかりたいのですが、ここで焦りは禁物です。しっかり硬化時間を計り、ゆっくりと取り外しました。
出来た型に、石膏を流し込みます。本当は、すぐに固まる即効性の石膏があるのですが、技工士さんに材料の管理をすべて任せているので、場所がわかりません。しょうがないので、硬化時間が少し長めの物を使いました。
石膏が固まる間での40分間。久しぶりにゆっくり読書をすることにしました。焦ってもしょうがないですから。
40分後、模型が出来上がり、その自分の歯形の模型の上で仮歯をじっくり直しました。途中何度もエンジンの回転に飛ばされ、2回ほど粉々になりましたが、何とか直すことが出来き、仮歯を自分の歯につける事が出来ました。
このときほど、自分が歯医者で良かったなと思った時はありませんでした。 やれやれ。
歯科医でよかったこと、でなければ
何日間か歯なしの 変なおじさん でいるわけ、
だから、仮歯は急いであげてたんですね。
歯医者さんが虫歯になったら、診療後せっせと自分で治療されてるのだと思ってました(笑) やはりそれは難しいんですね。 でも、一人で前歯の型を取る先生のお姿・・・想像したらかなりおもしろいです~