作業台=脳内
私がインプラントの勉強を熱心にしていた時に、フランスで開業している世界的インプランターでもあるフランク・レノア先生の講演を受講した事があるのです。
彼は非常に紳士的で理論的で革命的でした。それは日本に講演を依頼されるほどの先生ですから手術が上手く理論がしっかりしているのは当たり前です。
それよりも私が感銘を受けたのは、フランク先生の考え方です。手術の上手い下手はぶっちゃけてしまうと手術数が全てです。理論がしっかりしていなくても手術数が多い先生は手術が上手いです。
ただフランク先生は手術を人間の身体的、解剖的特徴をよく理解していて行い、且つ自分の精神状態が一定になるようにコントロールしながら手術を行っていたのです。
手術の術式が頭に入っているのは勿論、手術道具、リスクの理解など考えられる全ての事を熟知しているのは当たり前。エキスパートはその上で自分自身の心がぶれない様にコントロールするのが超一流なんだということを私は感じ取りました。
フランク先生は傲慢な先生では無いので、上記の事を自分で自慢した訳ではありません。私がそう感じたのです。
で、どんな事でそれを感じ取ったかといえば、手術をする時の所作の話をした時のエピソードです。
手術をする時はメーヨー台という手術器具を置く台があるのですが、その台の上が綺麗に整頓された状態がベストだというのです。
まだ若いときは、不必要な器具まで台の上に置いており、手術が進むのつれて乱れていたのが、時が経つほどにその手術器具が少なくなり、手術が進行しても綺麗に整理されたままだったというのです。つまり、手術台の上の状態が頭の中の状態の鏡だというのです。
つまり手術台の上の機材が乱雑になっている時は、頭の中も荒れていて危険な状態だというのです。
だから、常に冷静に手術を行いつつ、手術台の上も取り間違いがないように、必要最低限の機材だけで、しかも置く位置も決まっている様な状態を意識していて、しかもずっとその状態が成功している、というのです。
これは常に整理整頓の癖が付いていないと難しいです。
私はその話を聞いてから、机の上は常に綺麗に保ち、自分の頭の中もクリアにしようと心に決めました。
基本的に私の院長室の机の上は私がいない時は何も無い状態を出来るだけ保とうと思っています。
自分の心も体もクリアに出来る様に。
なんて昔の事を考えながら、本日はいつも使っているカメラの掃除を行いました(笑)
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