昨年の2月に天皇陛下の心臓手術を執刀した天野教授の執筆本です。
当時は、執刀医が東大病院の医師では無いことが世間を大いに騒がせました。
しかし、この著書を読むと、彼が選ばれた理由が克明に分かるし、歯科医師の私も大いに勇気つけられる内容となっています。
天野教授は、医師としてのスタートはそんなに恵まれたものではありませんでした。
大学受験に三浪し、一般的だった大学医局へ残るという選択もしていません。
そんな彼が、現在順天堂大学の教授をしているのです。それは、彼が努力を重ね目標を追い求める姿勢が結果として現れているのかもしれません。その類い希な努力と意気込みは、昔からのようなのです。
あこがれを抱くとそれと同じ事をしたいと強く思い、ひたすら真似をし、それを覚え吸収していく。
とにかく手術を上手くなりたい。そのためには手術を多く出来る環境に自ら進んで探し求めていきます。
それらのきっかけとなる大きな転機は、自分の父の心臓手術に立ち会い、亡くなった経験があるということ。
父親が亡くなった事で、心臓外科医を辞めるわけにはいかなくなったというのです。
お父さんの手術中、お父さんが「心臓外科医として、もいこれだけは絶対やるなよ」というトラブルやミスを自分の体で天野教授に見せてくれたというのです。父は命と引き替えに教えてくれた・・・・。それだけの遺産を残してくれたのに、この道から外れてしまうことなど出来るはずがない。そう思ったそうです。
「一途一心」とは天野さんの座右の銘でひたすら、ひたむきの意味だそうです。
彼は常に手術のことを考えているそうで、リンゴの皮をむくときとか、爪を切るときとか。。手先の訓練になることはすべて手術の訓練だと思い、生活しているそうです。歯科にも同じ事が言えると思います。考え方一つで常に前を向いていけるという良い例を教えて貰いました。
私は自分の甘く、他人にも甘いのですが、これからは自分には厳しく、目標を持って生きていかなければなと考えさせられた一冊でした。
本当はもっと書評を書いていたいけど、購入して読んで貰った方が早いですね。
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