大統領をも悩ます入れ歯
本日は、医学博士であり、さとう歯科院長の佐藤満先生の著書『入れ歯相談所』よりお届けいたします。
◇大統領をも悩ます入れ歯
どんなに偉い人であっても、あわない入れ歯には相当悩まされていたようです。アメリカ合衆国の初代大統領のジョージ・ワシントンもその一人です。
当時の入れ歯は上下の入れ歯がバネでつながっていて、そのバネの力で口の中に押さえつけるものでした。
ワシントンの肖像画を見ると、口元が一文字にしっかりと結ばれ、きびしい表情をしています。
非常に気難しい印象を受けます。しかし、これは威厳を出そうとしているわけではないのです。唇を閉じて、力一杯かみしめておかないと、入れ歯が飛び出してしまうからなのです。
強力なバネの入れ歯ですから、その力で入れ歯は歯ぐきに食い込んで痛いですし、食事にも困っていたようです。
3期目の大統領選挙を拒否した理由の1つに、入れ歯のためにまともな発音が出来なくなり、人前で演説するのが嫌になったから、という説もあります。それほど悩まれていたわけです。
イギリスのエリザベス一世もむし歯に苦しんで前歯を泣く泣く抜いたそうです。その後に入れ歯を作ったようですが、口を開けてはいけないと言われていたぐらいですから、とても人には見せられない飛んでもない入れ歯だったのでしょう。
笑う時も口を手や扇子で覆うというエチケットが出来たのも入れ歯のせいだと言われています。
日本ではどうでしょう。
南総里見八犬伝を書いた滝沢馬琴は、入れ歯を3両でつくったのですが、痛いし、あわないで高すぎると怒ったそうです。
東洋、西洋を問わず、入れ歯の評判は昔から相当悪かったようです。
参考文献 入れ歯相談所 佐藤満 ブイツーソリューション
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