むし歯はすべて充填すべきか?
本日は、丸橋賢先生の著書『歯で守る健康家族』よりお届けいたします。
◇むし歯はすべて充填すべきか?
むし歯によって生じた欠損部(穴)をアマルガム、レジン(プラスチック)、鋳造してつくった金属インレーなどで埋め、歯の形態、機能を修復する治療を充填といいます。
むし歯(学術的には齲蝕、カリエスと呼ぶ)は、口腔内の細菌が産生する酸が、硬い歯質を溶かしてつくられること、そしてむし歯の進行度によって、C1~C4で表します。もう一度整理してみましょう。
C1・・・エナメル質に限局したむし歯
C2・・・象牙質まで進行したむし歯
C3・・・歯髄まで達したむし歯(神経を取ってその後、根管治療が必要になる)
C4・・・C3を治療せずに放置すると歯冠部は崩壊し、歯根しか残らない状態(抜歯になるケースが多い)
充填がもっとも多くなされるのはC2で、C1に対して私は充填を行いません。最近、子供のむし歯が減少し、逆に歯科医院が増加した影響か、C1でも充填してしまうケースが増えているようです。一度充填されると、そこからまたむし歯が再発しやすくなるので、必要のないむし歯の充填は行わない方がよいでしょう。
臼歯部咬合面(咬む面)の、溝のエナメル質が着色している程度のむし歯であれば、正しいブラッシングと正しい食生活で進行が止まったり、再石灰化して自然に治ったりするからです。
◇誰でも分かる良い充填、悪い充填
次ぎに各充填方法についての基礎知識と、良い例と悪い例の見分け方のポイントをお話いたします。アマルガム充填、レジン充填、インレーと充填方法は違っても、正しい治療か否かを見分ける共通のチェックポイントは次の通りです。
1.歯と充填物の継ぎ目に隙間や段差がないか
肉眼で確認出来るものはもちろん駄目。とがったまま爪楊枝のもので継ぎ目を探り、ひっかかりがあれば駄目。隙間が50ミクロン程度でむし歯が再発する。
2.きれいに研磨してあるか
研磨が悪いと、食べかすがつきやすく、再発しやすい
3.咬合調整が正しく行われているか
咬合の確かめ方は難しいので、とりあえず、咬みにくい、高い、咬むと滑る、物が噛み切れないなどの状態があれば駄目。
4.むし歯が完全に除去されているか
これがもっとも大切だが、充填物の上からは見えない。むし歯を充填物の上からは見えない。むし歯を完全に除去しないと中でむし歯が再発する。
参考文献 歯で守る健康家族 丸橋賢著 現代書館
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