人生を料理した男~麻薬の売人からトップシェフへ~を読んで
昨年の夏頃だったと思います。どこの本屋かは忘れてしまいましたが、いつものように本屋の中をぶらぶらと歩いていました。気になる本を手に取り、ぱらぱらと何ページか読み飛ばし、面白そうな本を探していました。そんなとき、つい、10ページほど「ググッ」と読んでしまったのが、この本でした。
最初は料理に関係した小説かと思って買ったのです。料理に関係した本なので、最初は妻に勧めてみました。
妻も最初は読んでいたようなのですが、その後読まなくなってしまい、本棚に放置されたままでした。
昨日、次の本は何を読もうか・・・・・と本棚を物色していて、この本を手に取りました。
読み進めて行くうちに、妻が読まなくなった理由がよく分かりました。前半は全く料理と関係がなく、主人公ジェフの悪行の数々がずっと続いているのです。しかし、この主人公ジェフは、暴力と麻薬には手を出さないけど、窃盗、麻薬の売人など金になることすべての事を行っていて、目先のことしか考えない人間なのです。
このジェフが、弟分のギャングが捕まったことにより、証拠をつかまれ、逮捕投獄されてしまいます。その刑期約20年。殺人も麻薬も常習していないのにこの刑期に長さ。社会に与えた影響があまりにも大きいというのと、他の逮捕者は司法取引で刑期を短くしているのに、彼は自分に関わった麻薬関係者の事を一切喋らなかったというのも、刑期を長くした要因でした。
しかし、彼は投獄中に『料理』という素晴らしい生き甲斐を持ち、彼は将来は自分のレストランを持ちたいという希望と夢を投獄中に手に入れます。そこから彼は懸命に努力を重ねます。しかし、投獄中のため、自分の希望の部署(厨房勤務)にありつくことは容易な事ではありません。それでも、決して諦めず粘り強く交渉と努力を重ねます。彼には、夢があるために投獄中もまじめに刑期を務めて行きます。その努力が認められ始め、彼の刑期は大幅に短縮して行きます。
ついに、保護観察処分という条件は付きますが、刑務所から出ることが出来ます。そこから彼は自分の夢に向かってさらなる努力を続けます。しかし、彼は刑務所に入っていた経験があるため、なかなか条件の良い就職口が見つかりません。しかし、皿洗いから始めて、ねばり強く、根気強く仕事をし、チーフの信頼を勝ち得て、どんどん出世していきます。
私がこの本で学んだことは、『夢を決してあきらめない』『自分がよいと思ったことは、どんどん提案し、アピールを重ねる』『最後まで投げ出さない』ということです。
自分も、毎日多くの決断と交渉を行います。活躍の場はシェフの厨房と歯科医の院内ではかなり違いますが、お客さん(患者さん)の笑顔を引き出す仕事に変わりはありません。
辛いこと、嫌なことがあっても、ねばり強く仕事をして行かなければと再確認させられた本でした。
この本で印象に残ったことは、最後の方で、『家族のために生きている。これほどすばらしいことがあるだろうか』という言葉がとても印象的でした。
生きると言う大きな樹は、家族と言うあたたかい根っこ
があるから大きな樹になるのでしょうね。
うちの院長もよく、
「あきらめなければ失敗ではない」と言ってます。
本から人生を学び、活力を得ることは多いものですね。