むし歯は減っても、歯周病は減らない
本日は、中平宏先生の著書『50歳からの歯から若返る生き方』よりお届けいたします。
★むし歯は減っても、歯周病は減らない
口の中の二大トラブルと言えば、「むし歯」と「歯周病」です。ここで、二つの関係について整理してみましょう。
歯の病気と聞いてまず思い浮かぶのは、むし歯ではないでしょうか。
そもそもむし歯とは、プラーク(歯垢)の中にいる歯菌が、口の中に入ってきた食べ物から糖を取り込んで酸を作り出し、歯の表面のエナメル質を溶かすことでできるものです。
糖を得たむし歯は、たちまち活動をしはじめ、数分の速さで酸に変えてしまいます。糖は甘いお菓子だけではなく、パンやご飯などが分解され、糖質(糖分)となることでも生まれます。
そのため、むし歯を防ぐためには、食後すぐに歯磨きなどを行い、食べかすを残さないようにするのはもちろんのこと、食生活の習慣を改善することが大切です。
とりわけ、むし歯ができやすいのは、成長期の子どもです。乳歯や生えたての永久歯は、大人の永久歯より歯質が弱く、むし歯菌にふれるとすぐにむし歯菌になってしまいます。
加えて、乳歯と永久歯とが生えかわる時期の子どもの口の中は、歯の高さがまちまちで歯並びも複雑です。そのため、歯磨きのときに磨き残しを作りがちで、ますますむし歯のリスクが高まるのです。
こうした歯科疾患を防ぎ、早期に治療を行うために、日本では学校保健法に基づき、子ども達の口の中をチェックする「学校歯科健診」が、幼稚園や小・中・高校で義務づけられ、子どものむし歯などの歯科疾患に対するリスク管理が行われています。その効果もあって、子どもの歯の健康を守るという意識が根付いてきました。
平成17年度の調査によると、12歳(中学1年生)における永久歯のむし歯の平均本数は役1.82本で、10年前に比べて半減しています。
では、歯周病についてはどうでしょうか?大人になると、、歯質が成熟して歯の表面にあるエナメル質が丈夫になるため、子どもの時よりもむしろむし歯になる可能性は低くなります。しかし、もともとの体質やプラークの中に潜む歯周病などによって、歯周病が発生するリスクはかわりません。
「歯周病を患う人の人数」と「歯をなくす人の数」は年齢を重ねるごとに増えているのです。
近年、予防歯科の考え方が一般にも浸透してきていますが、その恩恵を受けているのは、今の二十代、三十代の人たち。それより前の世代が子どもの時は、今ほど世の中に歯の予防が大切であるという意識が根付いていませんでした。そのために、患者さんとしても「歯科医には、トラブルが起きてから行くもの」という意識が強かったおではないでしょうか。
参考文献 50歳からの歯から若返る生き方 中平宏 幻冬舎
まさに、30代の私ではありますが、
1年前までは、「トラブルが起きてから」それも、
「我慢できなくなってから」歯医者に行くという意識でした。
予防が大事だと言うことを知ったのは、
というか、「予防できる」と知ったのはほんの1年前のことです。
人間、知らないと言うことは怖いです。
知って良かった、いい先生と出会って良かったと、心底思っています。