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2007年3月28日 (水)

虫歯は減ってきている

今回は、波多野尚樹先生がお書きになった「歯から始まる怖い病気」の中から、「虫歯は減ってきている」をお送りします。

虫歯は減ってきている

30年近く小学校や幼稚園の歯科検診で子供達の歯を診て感じるのは、最近は本当に虫歯の子供が減ってきているということです。

20年前は800人検査すると半分以上は虫歯だったけれども、ここ何年かは100人にせいぜい2,3人と激減しています。

昔よくいたような「みそっ歯」の子供などはほとんど見かけなくなっています。おそらく、お母さんが子供達に歯磨きを励行しているおかげです。

21世紀を担う日本人は、デンタルIQが上がってきているようです。

ところで、どうして虫歯になるのでしょうか。

簡単にいえば、虫歯を引き起こす細菌が増殖し、大量の酸を出すために、歯のエナメル質や象牙質が溶け出し歯を壊していくのです。虫歯の正式名称が齲蝕(うしょく)-カリエスと呼ばれるのは、この症状のためです。

このように、虫歯というのは細菌による感染症です。

歯を赤い染色剤で染めてみると、大半の人が真っ赤に染まります。

とりわけ歯と歯の隙間と歯と歯肉の境目は赤い色が強くでます。これは食べかすが染まっているわけではありません。

この赤い染料は、細菌がいるかどうかを検査する薬品です。この赤く染まった部分こそ、虫歯の原因となる細菌が生息していることを示しています。

人間の口の中には、300種とも500種ともいわれる細菌がいるとされます。

赤ちゃんは産道を通って生まれますが、その際母親が体内に保存している細菌を受け継いできます。

胎児の時代に、胎盤を通して母親から貰うものもあります。それらの細菌は良い働きをするものも、悪い働きをする細菌も混在しており、常在菌として体内に溜まり、その人が死ぬまで生き続けます。

ところで虫歯菌ですが、生まれたばかりの乳児には虫歯の原因となる菌がほとんど見られないことから、大人が口移しで食べ物を与えたりする際に、食べ物と一緒に口の中に入るのではないかと考えられています。大人から子供へ、虫歯菌が伝染したということです。

細菌は目には見えないのだから、どこからどんな方法でも口の中に入る可能性があります。そして、自分に適した環境になるととたんに増殖を開始します。

虫歯の原因が細菌だと初めて発表したのは、ペンシルバニア大学のミラーという研究者であります。1890年の事です。しかし当時は虫歯の原因菌を特定できておらず、口腔の細菌と感染が全身疾患を引き起こす主な原因であるという細菌学の考えを発表したのみでした。

その後、多くの研究者によって虫歯が起こるメカニズムが研究されてきましたが、なかなか虫歯菌の真犯人が見つからず、乳酸桿菌という細菌が犯人ではないのか、いや他の細菌が原因だと様々な説がでました。

ほぼ100年近く経った1970年代のこと、虫歯に直接関係のある菌が突き止められました。ストレプトコッカス・ミュータンス(ミュータンス連鎖球菌)がそれです。ほんの30年まえの事です。

エジプトのミイラの頭蓋骨には、虫歯や治療の痕跡が見つかっています。人類は大昔から虫歯に悩まされていましたが、その原因が細菌であるとわかり、しかも菌が特定させずにずいぶん長い時間がかかったものです。5000年近い年月、人間は原因もわからないまま虫歯に悩まされ、見えない敵と戦ってきたのです。

このテキストを読んで驚いたのは、私が生まれた時代に虫歯菌が特定されたということ。ということは私が生まれるずっと前から親父は歯科の治療をしていたわけですから、まさに原因不明の敵を戦っていたことになります。そのときの歯に付ける薬はどんな根拠で扱っていたでしょう。

虫歯の原因菌がわかった今は、虫歯が減ってきたといってもそれは当たり前の事かもしれません。

虫歯の菌が突き止められた。
今は亡き歯科医達はあの世で何を思うか、
医学の進歩に感謝です


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