歯臓
今日は、歯学博士村津和正先生の著書「歯はウソをつかない」からのエッセーをお送りします。
歯臓とはなにか?
「歯臓」とは、頭蓋骨や顎を含めた捕食器全体のことを言います。
例えば、上顎(うわあご)を包丁として考え、下顎をまな板に置き換えてみるとわかりやすいでしょう。捕食する器、つまり捕食器の事です。
「歯臓」について考えた時、歯とはセンサーの役割をしていることが分かります。目で言えば網膜、耳でいうと内耳と同じ役割ということになります。
歯は、物を噛み砕く役割があると同時に、感覚器でもあるわけです。
また動物にとって食べることはエネルギーを取り込む事であり、これは人間も同様です。エネルギーの取り込みが食べることにあるとすれば、人間の命においても、その原点となる歯臓、つまり捕食器部分と、すべての生きる仕組みがつながっていると考えられます。
要するに、歯の噛み合わせが狂うということは、実は身体全体を狂わせてしまうことになるわけです。
そして、「歯臓病」とは、歯を臓器として認識したときに姿を現してくる、歯に起因する全身的な疾患や異常を起こすような病的な状態を意味します。
従来、歯科が扱っていた疾患が外科的領域とするなら、「歯臓病」は内科的領域に属するともいえるでしょう。ですから、歯を診るときは、実際に身体全体の一部として診ることが大切なのです。
参考文献 歯はウソをつかない-立証・歯臓説- 村津和正著 三五館出版
猪狩先生(しろくま)の歯学部の卒業式で
学長が言っていたこと、それは、歯学も身体を考えながら、いつも診療に専念するむねの祝辞を思いだしました。