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2007年2月22日 (木)

咀嚼が変えた脳の重さ

今日は斉藤滋先生の著書「よく噛んで食べる」からお届けいたします。

咀嚼が変えた脳の重さ

人類が誕生してから400万年といわれていますが、それ以前、人類が人類になるずっと以前から、「噛む」という行為は行われていました。地球上の動物は、例外なく、何かを食べ続けなければ自分の生命を維持せきません。つまり、噛むことは、人類の生きるための本能として、悠久の時間の流れの中で、しっかり体の遺伝子に組み込まれています。

猿から人への進化にも長い過程があります。その間には多くの環境変化がありましたが、食生活が脳の重量を400g前後から1400gへと変化させたと主張したのは大島清さん(京都大学霊長類研究所・名誉教授)です。

人類の祖先としてルーシーという名前が付けられた350万年前の女性の猿人は、身長110㎝、体重27㎏、脳の重さ400gでした。猿人は食物を牙で引き裂いて食べていましたが、その後、道具を作り、火を使えるようになった原人、火で焼いて細かく噛み砕いて食べるようになりました。

原人の脳は前頭葉がそそり立ち、猿人の2倍以上の1000~1200gになりました。さらに、器用に進化した手足を使って様々な道具や調理法も編みだし、あごの微妙な動きと舌と鼻から味と匂いの情報を大量に脳に送り込むようになった事により、牙を食物をすりつぶすことの出来る歯に変化させ、現代人の1400gの脳への発達に拍車をかけました。以上のように、進化の過程で「噛む」ことが脳の重さを増していった、というのが大島先生の考えです。

参考文献 よく噛んで食べる 斉藤滋著 NHK出版

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