子どもの歯を守れ!! 3
「子どもの歯を守れ!!」の3回目です。今日も昨日の続きです。
口に「良い細菌」を棲ませる
お母さんから子どもにうつされるのは、ミュータンス菌のような悪い細菌だけではありません。良い細菌もお母さんから子どもにもたらされます。
赤ちゃんはほとんど無菌といってよい状態で生まれてきます。そんな赤ちゃんに菌を植え付けれるのはお母さんの仕事です。最初によい細菌を植え付けることが出来れば、子どもの免疫力はぐんとアップします。
だから、どうか「悪い菌を植え付けたら大変だから赤ちゃんには近づかない、キスもしない」なんて考えないでください。
無菌状態でいるくらい危ないことは無いのです。
お母さん自身が、口の中をはじめ、健康な状態であること。そうすれば、良い菌を赤ちゃんに植え付けることが出来ます。
スキンシップは赤ちゃんを健康に育てる上で欠かせないことです。
たくさん抱きしめて、愛情を込めてキスしてあげるためにも、お母さんが健康でいること、口の中から悪い細菌を追い出しておくことが大切だということを忘れないでください。
生え始めで決まる
歯の運命は生え始めの時期に決定されるといっても過言ではありません。
生え始めの時期に唾液中のミュータンス菌が多ければ、その子どもは虫歯になりやすく、良い細菌が優勢であれば虫歯になりにくいからです。
歯が生え始めた時に、真っ先に歯に付着するのは「ムチン」(酸性唾液性タンパク)と言うものです。そして、このムチンによって覆われた歯の表面の膜は「ペリクル」と呼ばれています。
このペリクルに、虫歯を引き起こさない善玉の常在菌の代表・サングイス菌やミティス菌などが付着すれば、健全な歯垢が形成され、歯の表面は守られます。
こうなると、唾液の緩衝能力が有効に働き、歯の表面の持続的なPHの低下が避けられるので、ミュータンス菌が真っ先に歯に定着した場合に比べると虫歯になりにくいし、ミュータンス菌が入ってきても排除されます。ですから、甘いお菓子を食べても虫歯になりにくいのです。
ところが、歯の生えはじめに唾液の中にミュータンス菌がたくさんいる子どもは、生え始めの歯のペリクルにこの菌が定着してしまい、よい細菌が定着するのを妨げてしまいます。
ミュータンス菌は、歯の表面や、歯と歯の間などにのさばって、いずれは虫歯になってしまいます。
たとえ、ミュータンス菌の感染を完全に防ぐのは困難だとしても、感染の時期を遅らせるだけでも有効なのです。せめて、常在菌が付着して健全な歯垢が形成されるまで、感染を遅らせる努力をして欲しいと思います。
甘いお菓子は子どもにはとても魅力的です。お母さんとしては、虫歯になるのが心配で食べさせたくないけど、「食べちゃいけません」と言い切れる人は少ないのです。どうしても、「しょうがないわね、少しだけよ」ち妥協してしまいます。
でも、ペリクルに良い菌を植え付けることが出来たあとなら、甘いお菓子を食べても虫歯になりにくいのですから、それまでの辛抱です。完全に禁止するのは無理でしょうが、せめて砂糖を使う量を減らし、おやつの時間を決め、だらだらとお菓子を食べたりすることだけはやめましょう。
おやつには、砂糖が少なく、口の中に留まる時間が少ないものがおすすめです。チョコレートやキャラメルよりも果物や野菜を使ったデザート。ジュースよりお茶や牛乳が良いでしょう。おやつを食べた後は、すぐに口をゆすいだり歯磨きをするようにしましょう。
少なくとも永久歯が生えそろい、免疫機能が完成する12歳まではお菓子を始めとする砂糖の量をコントロールする必要があるのです。
乳用期には、親子で愉しみながら歯磨きをし、正しいブラッシングを習慣づけることが大切です。最後は必ずお母さんが仕上げ磨きをしてあげましょう。
正しい知識が子どもの歯を守ります。明日も続きます。
参考文献 「もう虫歯にならない」 花田信弘著 新潮OH!文庫
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