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2010年2月 7日 (日)

インプラントの選択基準

本日は、波多野尚樹先生、石橋卓大先生の著書『一生美しい 総義歯&インプラント』よりお届けいたします。

◇インプラント治療を受けるかどうかの選択基準

インプラントの成績は向上していますが、、いざ自分でインプラントを埋入するかどうかの選択を迫られたとき迷う方が多くいらっしゃいます。

高血圧や心臓病など手術のリスクを持っていて、出来るだけ麻酔や手術をしたくない方もいらっしゃるでしょう。もちろん、現在は必要最低限の局所麻酔なのでリスクはかなり減っています。

それらを考慮した上でも決心がつかず、しかも歯をほとんど失っている方の場合は総義歯が第一選択になります。

身体的なリスクがない方の場合は、ご自身の骨の状態から判断する方法もあります。

歯が失われた時点から骨の吸収は始まります。総義歯でも徐々に失われますし、まして合わない総義歯を使い続けると、さらに骨の吸収が進みます。

歯があるときは噛む力がかかり骨に刺激が伝わるので、骨のリモデリング(骨再生)のサイクルが機能します。

骨は刺激がかかることで破骨細胞と造骨細胞が活発に働いて、古い骨を壊し、新しい骨を作り上げていき、このサイクルにより二年かかって全身の骨が新しくなるのです。

ところが、歯を失い骨にかかる圧力や刺激がなくなってしまうと、リモデリングのサイクル機能が落ちていき、骨を破壊する細胞のほうが作る細胞よりも機能を充実させてしまい、やがて骨は生まれかわることも少なくなくなり、吸収されていきます。

たとえば、人間は歩かなくなると足が弱ってくるのと同じことです。

立って歩くときに重力がかかり、この際骨の中を電気信号が流れ、これにより、大腿骨の中で骨のリモデリングのスイッチが入ります。歩くことで、大腿骨の古い骨が壊され、新しい骨が作られるので、骨は2年で新しいものに変わって行くことが出来るわけです。

これがうまく機能している限り、2年以上前の古い骨は身体からなくなっています。歩かなくなり電気信号による刺激が大腿骨に伝わらなくなると、リモデリングのレベルが下がってくるので、骨は弱くなります。使わなければ筋肉も弱くなり、ついには歩けなくなってしまうのです。

インプラント治療は、顎の骨がしっかりとあることが理想です。骨が全部しっかり残っていて、しかも歯がまったくないという人は、インプラント治療しやすい症例です。その際、歯以外はどこもトラブルがなく、健康であるというのも好条件になります。

しかし、こういう歯科医にとって都合のよい患者さんは、それどほ多くはありません。すでに骨の吸収が始まっていたり、高血圧、糖尿病といった生活習慣病をお持ちだったりと、さまざまな条件を持ちながら治療をするという方が大半なのです。

これらを解決しながら、あるいはリスクを軽減させる方法を模索しながら治療を実施します。

骨の質によっても、インプラント治療の条件が違ってきます。

骨は、表面の硬い皮質骨と真ん中の軟らかい海綿骨から出来ていますが、海綿骨があまりにも軟らかかったり、骨粗鬆症のようになっているケースもあります。あるいは、、表面の硬い皮質骨が非常に薄くなっているという症例もあるのです。

反対に軟らかい海綿骨が少なく、皮質骨が厚くなっていて、削っても血液が出ないという方もいらっしゃいます。血液がなければ骨が出来ないので、このようなケースでは、オッセオインテグレーションが獲得しにくくなります。

これらの難しい条件では、従来はインプラント治療が難しいと言われていたのですが、最新の技術開発により可能になっています。

このように、以前はインプラント治療を受けられる人が限定されていましたが、現在は技術の進歩により、ほとんどのケースで治療が可能になっています。

その意味では、インプラントに向かない人はほとんどいなくなっているといっても過言ではありません。歯科医師と十分に相談した上で何を選択するのが自分にとって一番なのかを決めることが大切です。

参考文献 一生美しい 総義歯&インプラント 波多野尚樹、石橋卓大共著 小学館新書 

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