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2009年11月11日 (水)

犬はなぜ『イー』と言えないのか?

本日は、松矢篤三先生、古郷幹彦先生の共著である『のどちんこの話』よりお届けいたします。

◇犬はなぜ「イー」と言えないのか

犬の鳴き声をよく聞いていると、「ワン」「ウー」「キャン」などの音には人の用いる母音に近い音が含まれています。しかし、その音は、「ウ」「オ」「ア」に近い音のみで、「イ」「エ」に近い音は含まれていません。

人の子供なら生まれて一年もたたないうちに他種類の音声を獲得し、その中にはすでに「イ」とか「エ」といった音素が含まれているのに、犬ではどんなに賢くても「イー」と鳴くことができないのはなぜでしょう。

母音(アイウエオなど)は、声帯での音が声道(咽頭音、口腔、鼻腔)を通過する際に音響敵な修飾を受けて作られるもので、「声道の形」が母音の音韻形成に最も寄与しています。

声道の形を変化させているのは、軟口蓋・舌・口唇・歯・下顎などですが、鼻音化母音(後出)以外の母音では、軟口蓋の挙上により鼻咽腔は閉鎖されますので、咽頭腔と口腔の形態のみがそれぞれ母音の音韻の特徴(ホルマント)を決定していると言えます。

人も犬も「口のひらき」と「舌の移動」で、口腔の形態を変化させることができますが、人は舌根の前後運動で口腔の形態のみならず、咽頭腔の形態も変化させることができるのです。

ところで、「アー」「オー」の特徴を与える声道の形は、「大きな口腔と小さな咽頭腔」で、「イー」「エー」の特徴を与える声道の形は、狭い口腔と広く長い咽頭腔です。

人類は直立歩行によって咽頭が広く長くなったことは以前述べましたが、同時に四足歩行の動物では平らである舌の後1/3が人では垂直に折れ曲がり、咽頭腔に面する部分が生まれ(人の舌根部)ました。

この舌根部の前後運動が咽頭腔の形態をも変化させることができるので、「イー」「エー」の発音が可能となったのです。

ちなみに、犬は二本足でチンチンしても「イー」「エー」は言えないので念のため申し申し添えます。

参考文献 のどちんこの話 松矢篤三・古郷幹彦共著 医歯薬出版 

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