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2009年8月 6日 (木)

長時間労働のツケは後からくる

本日は、デンタルトリビューン紙2009年5月号よりお届けいたします。

《フィンランド》

フィンランド国立労働衛生研究所のMariana Virtanen氏らは、2.214人の国家公務員を対象として長時間労働が精神衛生に与える影響を検討しました。その結果、週に40時間を超える長時間労働に従事している人は、一般に、壮年期を迎えると精神的に抑圧傾向に陥る可能性のあることが示されたとAmerican Joernal of Epidemiogy(2009;169:596-605)に発表しました。

◇2.214人認知機能を5年追跡

同研究所Whitehall Ⅱstudyは、1985~88年に35~55歳の公務員1万308人を登録した大規模な前向きコホート研究です。

Vitanen氏らは今回、1997~99年(ベースライン時)と2002年~04年(追跡時)のいずれも認知機能テストを試行できた2.214人(男性1.694人、女性520人)を対象として解析を行いました。

認知機能テストでは、①記憶力②推論・理論的思考力③語彙力④発音の流暢さ⑤語彙の理解力~の5つの能力を測定しました。

2.214人のうち、労働時間35~40時間/週が853(39%)、41~55時間/週が1.180人(53%)、55時間超/週では、結婚・同棲率、学歴、収入、社会的サポートの程度、飲酒量、不眠率、心理的負担感のいずれも高くなる傾向にあることがわかった。

◇55時間超/週で各種認知機能低下

多変量分散分析(MANCOVA)の結果、労働時間が長いほど認知機能全般が有意に低下することが示されました。(ベースライン時:p=0.002、追跡時p=0.037)。さらに、労働時間が長いほど、時間の経過とともに認知機能が低下する度合いも有意に大きくなることがわかりました。(p=0.044)

また、35~40時間/週と比較して55時間超/週では、ベースライン時、追跡時ともに推論・論理的思考力は有意な低下が見られ(それぞれp=0.068 p=0.002),語彙量も同様でした(いずれもP<0.001)。

今回の研究チームは職業、学歴、高血圧や心疾患といっ全身状態などさまざまな因子の関連も検討しました。Virtanen氏らは、「長時間労働と認知力低下の関連性を調べるにあたってまだ検討していない因子が残っているだろう」と述べ、「長時間労働が精神衛生上に直接的に影響するかどうかは明らかではない」と注意を付け加えました。

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