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2007年10月21日 (日)

味は計れるのか?

本日は、日本経済新聞10月7日分のサイエンスの欄に掲載された記事をご紹介いたします。

科学の「舌」、味を分析・再現

秋は収穫の季節。豊穣の海や田畑からとれた食材に、おいしく舌鼓を打ちたくなります。しかし、「味」とはいったい何か、科学的にうまく説明出来るのだろうか。舌の代わりをする味覚センサーの開発が進み、これまで人の主観に頼ってきた味の分析に客観性な科学のメスが入り始めています。

「これ、まさにコーヒー牛乳の味よ」

東京都内に住む主婦Kさん(40)は、麦茶と牛乳と砂糖を混ぜた物を飲み、思わずつぶやきました。色こそ白っぽいが、コーヒー牛乳と同じ味がするといわれる“ニセ”飲料で、実際に野見比べても違いが分からなかったのです。

これを科学的に裏付けるのが味覚センサーによる分析です。甘み、うまみ、コク、苦み、塩味の五つの要素で調べたところ、結果はほとんど同じでした。

この味覚センサーを開発した九州大学工学部の都甲潔教授は「味はバーチャル(仮想的)なもの」といいきります。味の元になる物質を直接感じるのではなく、あくまで作り出された味を感じていると見ています。

逆に、バーチャルリアリティ(仮想現実感)のように、「科学的な分析に基づけば、どんな味でも原理的にはつくることが可能」と話します。

味覚は、基本的には舌の上にある味細胞で感じます。例えば、昆布や鰹に含まれるうまみ成分のグルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムなどはイオンとなり、これが味細胞にふれると神経に電気が走ります。電気の流れ方(電位の変化)の違いで、「おいしい」「まずい」ばどと人は実感します。同じ電位の変化をするものは、元の物質が違っても同じ味と言うわけです。

味覚センサーは味細胞の代わりに脂質膜を使い、電位変化を数量的に計ります。5枚の舌を持つかのように、5つの要素それぞれを測定して、パターンを見分けます。要素によっても特徴も違い、苦みは濃くても薄くても電位が反応しますが、うまみは濃くないと反応しないといいます。

「味に関する化学物質を一つ一つ検出しないことがポイント」と都甲教授は説明します。何十種類もある味の元になる物質をいちいちずべて検出していては時間と手間がかかりすぎます。さらに物質同士の相互作用も考える必要もあります。

こうしたことをしないで、多くの化学物質が混じった全体をまとめてとらえ、その電位のパターンを見ることが、味覚を定量的に計れるセンサーの開発に繋がりました。

同教授の成果を実用化したベンチャー企業、インテリジェントセンサーテクノロジー(神奈川県厚木市)の池崎秀和社長は「後味も判別できるようになった」と話します。

計測した後のセンサーを味物質がはいっていない溶液につけて反応がなくなるまでの時間を計ります。時間の長さは、人が感じる後味をほぼ表すといいます。例えば、紅茶の渋みが、どれだけ後味をひくのか、いわゆるキレを分析しました。その結果、紅茶のグレードはキレの良さに比例していました。

味覚センサーでビールや発泡酒の様々な銘柄を調べると、「ビター」や「ストロング」など、四つの中でそれぞれどこに位置するかを分析できます。ビール会社ごとに苦みを重視していたり、コクを大切にしていたりなど「特徴がはっきりわかる」(池崎社長)と明かします。

うまみや苦みを分析すれば、シイタケが国産の厚木をつかったのか、中国産の厚木から出来たのかまで分かるといいます。

九州の大手しょうゆメーカー、フンドーキン醤油(大分県臼杵市)は今年から味覚センサーの結果に基づき、甘みや塩味、うまみについて表示を始めました。消費者が好みの製品を選ぶ参考にしてもらうのが狙いです。加藤正取り締役は「味覚センサーを工場の品質管理にも使いたい」と実力を買っています。

ただ、人間は味を舌で感じるだけでなく、においや風味、食感なども合わせて総合的に味わっています。目をつぶり鼻をつまんで飲んだり食べたりすると味の違いがわからないことがあるのはこのためです。

「味覚センサーは味細胞で感じる結果だけを分析しています。香りや食感を含めた味とは別」と都甲教授は話します。例えば、マツタケは舌による味覚ではなく、「人にとって代わる能力があるわけではない」(池崎社長)と限界も認めています。

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