細菌性心内膜炎(この病気歯が原因?より)
~細菌性心内膜炎~
これは、血液に入った細菌が心臓に侵入して心臓の弁と心内膜に感染を起こす病気です。
ある男性のケースから見てみましょう。
〔55歳 男性のケース〕
発熱や全身の倦怠感が続いたため、内科に緊急入院となりました。抗生剤による点滴を受けるなどの治療の結果、症状はおさまりました。検査の結果、医師からは「細菌性心内膜炎」であると言われました。
重度の歯周病で歯がぐらつき歯肉から度々出血がありましたが、長期間放置していました。噛むと痛み、我慢できなくなったため歯科医院に通院しかけたばかりでした。
では、細菌性心内膜炎とはいったいどのような病気なのでしょう。
血液を循環させるポンプの役割をしているのが心臓で、その心臓の内側を覆っているのが心内膜です。細菌によりこの内膜に炎症を起こすと細菌性心内膜炎を引き起こします。
この病気は後天性の心臓弁膜症や心室中核欠損などの心臓の病気を元々持っている場合に起こる事が多いです。
抜歯などの外科的処置が誘引になって血液中に菌が入り、心臓に行き、菌血症という状態になり発熱や全身倦怠感を起こします。
細菌が心臓の弁に付着してしまうとそこで細菌が増殖し、膿を形成、やがて細菌の塊や血液の塊が崩れ、他の血管に飛んでいきます。飛んだ先の血管が脳の血管であれば、脳梗塞を起こしますし、心臓に行く血管であれば心筋梗塞や心不全を引き起こします。
このように、体に重篤な後遺症を引き起こすことの多い病気で、心臓に異常のある方はあらかじめ抗生剤を服用しながら歯科治療、特に抜歯や歯石除去を行う必要があります。
《日頃から注意すること》
歯周病や虫歯などは重篤な状態になるまで放置せず、普段から身体と同じように定期検診を受け、悪いところは初期のうちに治しておく事が重要です。
参考文献 「え?この病気歯が原因!?」 佐藤豊・佐藤文枝著 砂書房出版
日頃 自分の身体は自分で
予防 を心掛けることですね。