スポーツ外傷対応マニュアル
社団法人 日本学校歯科医会という団体から発行されている
「歯・口腔・顎顔面のスポーツ外傷対応マニュアル」という冊子があります。
今日はそれをまとめてみます。
学校生活を送る生徒に送られる「傷害見舞金給付」が一番多いのは「歯の外傷」だと言われています。
平成14年度の「傷害見舞金給付」の給付状況を見てみると、高校生は300件近い傷害の中で、歯科に占める割合は約125件、中学生では160件中40件近い数にのぼっています。
これは、学校側が生徒にスポーツを推奨する事は資質や能力を養い、生涯にわたるQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上に充分に補えるためです。このため生徒は活発に体を鍛え、能力の向上に努めて行きます。
その副作用として、激しいぶつかりあい、転倒等がおこり事故へと繋がります。
では、歯・口腔顔面外傷の対応を見ていきましょう。
1 歯の破折
救急ポイント:歯の神経が出ていて、出血しているかどうか?
①出血している→神経が感染しないように出来るだけ早く学校歯科医又はかかりつけ 歯科医へ
②出血していない→時間的に余裕がある
〔アドバイス〕折れた歯の破折片を持っていくと使えるときがある
2 脱臼(歯が抜け落ちそうな場合)
救急ポイント:顎骨に異常がないか、局所だけの問題かどうか。完全に抜けてしまっているかどうか。
①完全に抜けている→汚れている場合には少量の保存液(なければ牛乳、生理食塩水、水道水は禁忌)に保存。再植の成功の成功率は抜けてからの時間との勝負になります。神経が出来るだけ感染しないように出来るだけ早く学校歯科医又はかかりつけの診療所へ
②抜けていない→学校歯科医またはかかりつけ歯科医へ
3 陥入(歯が歯肉又は骨のなかへ入り込んだ状態)
救急ポイント:外傷の程度が重篤な場合が多い。意識状態も要注意
アドバイス:意識の確認、外傷の消毒、学校歯科医またはかかりつけ歯科医へ連絡。口腔外科へ搬送してください。
4 顎骨骨折
緊急ポイント 外傷の程度が重篤な場合が多い。意識状況も要注意
アドバイス:意識の確認。外傷の消毒。学校歯科医又はかかりつけ歯科医へ連絡。口腔外科へ搬送
5 軟組織のけが
緊急ポイント 顔面や口唇の怪我も学校歯科医又はかかりつけ歯科医へ連絡。砂利や小石の除去を行う。感染に注意する
アドバイス:唇と歯肉を結ぶ上唇小帯の裂傷も多いです。
このような傷害を充分に防ぐために、マウスガードの着用が効果的です。
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