本日は、ジェイナ・マーフィ著の『うちの子、どうして同じ服ばかり着たがるの?』よりお届けいたします。
◇どうして同じ本ばかり読んでもらいたがるの?
幼い子どもの親なら、もう何度となく読み聞かせている本が一冊や二冊はあるでしょう。
あまり何度も読んだので、文章はすっかり頭に入っているかもしれません。それでも読み聞かせるたびに、子どもは顔を輝かせて聞いているはずです。
親は、子どもが本に興味を示すとうれしいものですし、将来、優等生になるかもしれないと期待してしまいますが、本を読み終えて「おしまい」と言ったとたんに、「もういっかい!」と言われると、同じ絵本ばかり読み聞かせていて意味があるのだろうか、と思い始めます。
でも、心配はいりません。初期の読み書き能力を研究する専門家のほとんどが、その問いにイエスと答えています。
子どもが同じ本を何度も読んでもらいたがるのは、子ども自身にとっても、発達の面でも、もっともな理由があるからだ、とリザベス・ディラー博士は言います。
「本の読み聞かせは、子どもの潜在能力を最大限に引き出し、発達させるためには、親がしてやれる一番大切な仕事の一つです。そもそも読み聞かせには、いくつかとても重要な効用があります。その一つは、親子が特別な時間をもてることです。また、ものごとの連続性を教えることが出来ます。物語には、始まりと中間と終わりがありますから。さらに、読み聞かせによって、本は楽しめるものだということを教えられます。」
また、十分に読み書かされて育った子どもは、そうでない子どもより、早く字が読めるようになるとも言われています。
子どもは、異なる本をたまに読んでもらうよりも、同じ本を何度も繰り返し読んでもらう方が、たくさんのことを学ぶようです。
まだ、幼稚園に入る前の子どもにとって、本に書き出されるのはあまりに未知の世界ですから、何度も読んでもらって初めて、物語の内容になじみ、使われている単語を覚え(ただし覚えられるのは一度にひとつか二つ)、また自分が見ている絵と聞いているお話を関連づけられるようになるのです。
その関連づけができるようになるには時間がかかり、だからこそ、繰り返し同じものを読み聞かせるのにうんざりしはじめたころ、子どもが安心してその本の世界に入り始めることも少なくありません。そして、そのころにはんて初めて、つぎのページで何が起きるかを予想できるようになり、ときには次の単語を覚えていることもあるのです。
「大好きなページがつぎに控えていることを知っている子どもの期待感が、手に取るように感じるでしょう。何かが起きよいとしていて、その何かを知っているというのは、子どもにとってはとても満足すべきことなのです。それは、子どものなかにとてつもなく大きな自信を植え付けてくれます。」とハインズ・ベリー博士はいいます。
◇だから・・・
*何度もくり返し読み聞かせよう
一日に三回、四回と同じ本を読まされたら、いいかげん逃げ出したくなるかもしれませんが、それによって得られる長期的な見返りは、ひょっとしたら途方もなく大きいかもしれません。
さまざまな研究によって、三歳までに日常的に本を読んでもらった子どもは、そうでない子どもよりも、学校の成績がよいことが証明されています。
ディラーラ博士が説明するように、「本を読めば成績がオールAになるというわけではありませんが、読み書きが子どもの能力を最大限発揮させる手助けになるのは確かです」。
事実、学齢に達する前に本を読んでもらった(あるいは読んだ)経験が多いほど、読解力のすぐれた子どもになり、その傾向は小学校に入ってからもすっと続いています。
*子どもが選ぶ本でわかること
どんな本を選ぶかによって、幼い子どもの心のなかを推しはかれることもあります。
ハインズ・ベリー博士によれば、癇癪を起こしやすい子どもは、モーリス・センダックの『かいじゅうたちのいるところ』をくりかえし読んでもらいたがるといいます。
その本が癇癪を起こしても大丈夫だと認識させてくれるからです。子どもがある特定の一冊にこだわるようなら、その本にしかない魅力は何なのかを探ってください。多くの子どもにとって、自分ではコントロール出来ない感情(例えば恐怖や嫉妬)を扱った本をくり返し読み聞かせることで、彼らがその感情を克服するのを助けられるかもしれません。
*読み聞かせは楽しく
子どもはあなたの声が大好きで、あなたと遊ぶのが大好き、そしてあなたの愛情を自分にだけに向けてもらえるのが大好きです。読み聞かせの時、あなたの声音を変えたり、小道具をつかったり、子どもに参加させて楽しませることが出来たら、彼らは読書について一番大事なことを学び、自分でも本を読んで見たいという気持ちになるでしょう。
参考文献 うちの子、どうして同じ服ばかり着たがるの? ジェイナ・マーフィ著 草思社
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