開業も20年近くなってくると、色々と痛い目にも遭ってきています(苦笑)。
だから、開業10年を超えるころから、患者さんには本当の事を告知する様になってきました。
まあ、開業医レベルの歯科の告知は「死」につながる事なんて皆無ですから、せいぜい酷くても「抜歯」や「入れ歯宣言」くらいなものです。
しかし中には。入れ歯ですら入れられない程、口腔内の状況が悪化してしまっている患者さんもいらっしゃいます😩。
患者さんへ説明する時を段階を追って説明していくと、
ケース1
患者:「この歯を治せますか」
私:「大丈夫です、あまり削らなくても治療出来ると思います」
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ケース2
患者:「この歯は抜かないでも大丈夫でしょうか」
私:「歯の保存は難しいです。抜歯するしかないです」
患者:「抜歯した後は、どうなりますか」
私:「両隣の歯が健全なので、ブリッジ、インプラント、義歯、どの様な選択でも大丈夫です。
「ただ、両隣の歯の神経が既に治療済みで削った既往があるので、ブリッジが良いかもしれません」
別のパターン「ただ、両隣の歯が虫歯の無い健全な歯なので、削らない選択、インプラントや入れ歯がよいかもしれません」
患者:「入れ歯は嫌で、保険での治療が望みなのでブリッジでの治療を望みます」
私:「了解しました」
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ケース3
患者:「痛みが酷くて、治療したいのですが、抜歯はしたくないのです。なにか方法はありますか?」
私:「なんとか、根の治療を行って、保存を頑張ってみましょう。ただ、抜歯になる可能性もあります」
別のパターン1
私:「残念ながらこの歯は既に支えの骨が消失・吸収してしまっているため、保存が難しいです。抜歯しか治療の選択はないと思います」
患者:「その場合、保険ではどのような治療になりますか」
私:「抜歯後は両隣の歯が存在しますので、ブリッジか入れ歯の治療となります。ただ、残っている歯の状態もあまり良くないので、ブリッジですと長期的に持たないかもしれません」
患者「入れ歯は嫌なので、長期間持たなくてもブリッジでお願いします」
別のパターン2
私:「残念ながらこの歯は既に支えの骨が消失・吸収してしまっているため、保存が難しいです。抜歯しか治療の選択はないと思います」
患者:「その場合、保険ではどのような治療になりますか」
私:「抜歯後は前後の歯が残っていないので入れ歯での対応になります」
患者「入れ歯は嫌なので、なんとか残せませんか?」
私:「ちょっと腫れと痛みと動揺が出ていますので、保存は難しいと思います。」
患者:「なんとか、なりませんでしょうか」
私:「入れ歯が難しい場合は、保険外のインプラントの治療の選択しかないと思います。ただ、抜歯に至った経緯を考えますと、口腔内の状況が悪いので、全顎的な治療が必要になるかと思います。」
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上記の様な会話が毎日毎日歯科医院の中で繰り広げられます。
歯科医師は出来るだけ歯を保存してあげたいという気持ちを持って診療に望んでいます。
ただ最初に書いた様に、歯科では死亡になる症例というのは大変少ないので、患者さん自身が「まあ、痛くなったら歯医者に行こう」という気分でしかない方が非常に多いのです。
それと、歯科の落とし穴として、歯科の治療は「時間が掛かる」ということです。
短時間で治療がすむと思っている患者さんが非常に多いです。
10年虫歯や悪い状態を放置して、口腔内が完全に変形を起こしている状態を1ヶ月で治ると思っているのです。
たまに「時間が掛かりすぎだ、何回通院させれば気が済むんだ、金儲けの為か!」と怒り出す患者さんもいますが、そういった自己中心的なメンタル構造が、口腔内も痛くなったら歯医者で短時間で治せばいいかと短絡的に考えてしまうと思います。
先日も、「もう歯のクリーニングも終わったし、直ぐに新しい歯が入ると思った」と悲しんでいる患者さんがいました。しかし、人間の顎関節に無理なく変形した口腔内を治すにはあと何年かかかりますと説明したら愕然としていました。
何度も書きますが、歯科の治療は時間が掛かります。
メンテナンスの事を考えれば、一生の問題です。
手遅れになる前に定期的なメンテナンスを。
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