インプラントとブリッジ、入れ歯の違い
本日は加藤大幸先生の著書『よくわかる 歯科 インプラント治療』よりお届けいたします。
◇インプラントとブリッジ、入れ歯の違い
私たちの奥歯は一本で約50kg、ほぼ成人の体重を支えるほどの強さがあります。このように強い歯が、むし歯や歯周病(歯槽膿漏や歯肉炎、歯周炎など歯の周囲組織の疾患)に侵され、失われていくに従って、ものを噛み砕く力(咀嚼能率)は除々に低下してしまいます。
仮にあなたが奥歯を一本失うと、咀嚼能率は30~40%も低下してしまうのです。噛む事の重要性と私たちの健康に及ぼす影響については以前述べたとおりです(加藤大幸先生の著書を参照してください)から、不幸にして歯を抜かなければならなくなったとしても、出来るだけ少ない本数で止めておきたいものです。
抜歯後の治療法としてはブリッジや部分入れ歯があります。しかし、ブリッジのように安易に健康な隣の歯を削って信頼性の低い金属で被せてしまうと、かえってむし歯や歯周病になりやすい環境を作り出し、将来より多くの歯を失うことになる可能性が高くなります。部分入れ歯にした場合も入れ歯を引っかける歯に過大な力がかかり、その結果、健康な歯まで蝕むことのなるのです。
たとえば、ニューヨークでは、歯を失った場合の大半はインプラント治療が行われています。失った1本の歯のために両隣の健康な歯を削る必要があるブリッジにすることはしません。
高いレベルにある歯科医の技術には、日本もアメリカも大差ありませんが、人工歯などを作る歯科技工士の技術になると、日本の方が上だと思います。それなのに、日本では歯科治療の大半が、信頼性の低い銀歯で被せてしまうのです。そして、そんために将来、隣の歯がむし歯や歯周病で駄目になってしまうのです。
歯はドミノ倒しと同じように、一つ倒れてしまうと次々と駄目になり、最後には総入れ歯になってしまいます。さらに、噛み合わせが安定しない不正咬合のために、体調が優れず精神的安定感を失いがちです。不正咬合は顎の変形を招き、ときには口唇がゆがみ、口の周りにシワが寄ることもあります。やがてこの変形が姿勢にまで及ぶと、さまざまな全身症状(咬合由来)を引き起こすことが知られています。
このような状態からもとに戻すにはとても難しく、歯科医の高度な技術を観察力とともに、患者さんの回復への強い思いと努力が必要です。
一方、私たちに身体は使わなければ衰えて行きますが、もう一度使えるように治療すると、失われた機能が発達回復するように出来ています。いわゆるリハビリです。
インプラント治療を行うと、たが噛めるようになるだけでなく、全身的、精神的に大きな効果が現れてきます。おかしな話しですが、自分の歯よりも噛める感じがするのです。一度衰退した筋肉や神経が除々に回復して身体に力が入るようになるからです。
表情は豊かになり、頬に張りが出て、唇も引き締まってくるのが分かります。さらに、噛み合わせが安定することによって、精神的安定感もよくなり、学習能力が向上し集中力が増してきます。噛み合わせを安定させると、ゴルフのスイングなどが安定してくるのはこのためです。
入れ歯やブリッジもけっして悪い治療ではありませんが、インプラント以上の効果は期待できません。また、治療することによって他の健康な歯を傷つけてしまい、引き抜くような力がかかってしまうので、治療の限界が見えているのです。このため、日本においてもインプラントが歯を失った場合の第一選択になることは間違いありません。
参考文献 よくわかる 歯科 インプラント治療 加藤大幸著 現代書林
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